プロンプトエンジニアリングの例10選|コツと手法を徹底解説

プロンプトエンジニアリングの例10選|コツと手法を徹底解説

記事の要約

  • プロンプトエンジニアリングとは、生成AIへの指示文を設計し、狙った出力を安定して得られるようにする取り組みのことです。
  • 指示文の精度は、役割・前提条件・出力形式・禁止事項という4つの要素をどれだけ具体的に書けるかで大きく左右されます。
  • 指示の工夫だけでは埋まらない領域もあり、正確さが厳しく問われる専門業務では仕組み側での対応が必要になります。

生成AIを使ってみたものの、返ってきた文章が当たり障りのない内容で、結局は自分で書き直している。多くの現場で起きているこの状況の原因は、AIの性能ではなく指示の出し方にあります。

本記事では、プロンプトエンジニアリングの基礎を短く整理したうえで、業務でそのまま試せるプロンプト例を10個紹介します。あわせて、出力の精度を上げる5つのコツと、研究で有効性が示されている代表的な手法も解説します。

単なる例の羅列ではなく、なぜその書き方が効くのかまで示すため、自社の業務に合わせて応用できるようになります。東京大学松尾研発のAI開発企業として企業の生成AI活用を支援してきた弊社の経験も踏まえています。

プロンプトの工夫では超えられない限界にも触れるので、どこまでを指示で解決し、どこからを仕組みで解決すべきかの線引きも見えてくるはずです。

プロンプトエンジニアリングとは?基礎を3分で整理

プロンプトエンジニアリングとは?基礎を3分で整理のイメージ図

プロンプトエンジニアリングとは、生成AIに与える指示文(プロンプト)を設計し、目的に合った出力を安定して得られるようにする技術です。同じAIでも、指示の書き方ひとつで出力の質は大きく変わります。曖昧な指示に対してAIは最も無難な答えを返すため、平凡な結果になるのは当然ともいえます。

この技術が業務上重要になる理由は、再現性にあります。個人が試行錯誤の末に良い出力を得ても、その手順が共有されなければ組織の成果にはなりません。

実際、企業の生成AI活用は個人利用や試験利用が中心で、全社的なサービスに組み込まれている企業は18.6%にとどまります。5社に4社以上は、まだ個人の工夫の段階にあるということです。

部署ごとの差も大きく開いています。生成AIを利用している部署は「ITシステム」が71.9%、「経営企画」が69.0%と、管理系が先行しています。

一方、「製造」は35.7%、「調達」は31.3%、「流通」は23.9%と、現場業務に近い部署ほど活用が進んでいません。

管理部門と現場の間には、およそ2倍の開きがあります。業務ごとに再現できるプロンプトを整備することは、この差を埋める現実的な手段になります。

参照元:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX動向2026」(2026年7月30日公表・2025年度調査)

すぐ使えるプロンプトエンジニアリング例10選

すぐ使えるプロンプトエンジニアリング例10選の解説図

ここからは、実際の業務で使えるプロンプト例を紹介します。いずれもそのまま貼り付けて試せる形にしていますが、重要なのは文面をまねることではなく、どの要素が効いているかを理解することです。同じ構造を自分の業務に当てはめれば、例にない場面でも応用できるようになります。

そこで各例には、その指示が機能する理由を一言添えました。前半は部署を問わず使える汎用業務、後半は製薬・製造・小売の専門業務に分けて紹介します。

汎用業務で使えるプロンプト例5つ

1. 議事録の要約「あなたは経営会議の書記です。以下の議事録を、決定事項・保留事項・次回までの宿題の3つに分類して箇条書きにしてください。担当者名と期限が記載されている項目は必ず含めてください。推測で補完せず、記載のない情報は『記載なし』としてください。」役割を与え、分類の枠を先に指定し、さらに推測を禁じている点がポイントです。最後の一文がないと、AIは空欄をもっともらしく埋めてしまいます。

2. 社外メールの下書き「取引先の購買担当者に送る、納期遅延のお詫びメールを作成してください。遅延は3営業日、原因は部材の調達遅れ、代替案として分納を提案します。丁寧かつ簡潔に、300字程度で。言い訳がましい表現は避けてください。」相手・状況・提案・文量・避けたい表現まで指定すると、修正の手間が大きく減ります。

3. 資料の構成案づくり「製造部門の管理職15名向けに、生成AIの社内活用をテーマとした30分の説明資料の構成案を作ってください。聞き手はAIに詳しくなく、コスト対効果に関心があります。見出しと各スライドで伝えたい一文をセットで提示してください。」聞き手の属性と関心事を書くと、内容の焦点が定まります。

4. 情報の比較整理「以下の3つのサービスについて、料金体系・導入期間・サポート範囲・制約事項の4項目で比較表を作ってください。資料に記載がない項目は空欄とし、推測は記入しないでください。」比較軸を自分で決めて渡すことが精度の分かれ目です。軸を指定しなければ、AIは都合の良い軸で表を作ります。

5. 文章の校正「以下の文章を校正してください。修正案だけでなく、なぜ修正が必要かの理由を各指摘に添えてください。事実関係の誤りが疑われる箇所は、修正せずに指摘だけしてください。」理由を求めることで、採用するかどうかを自分で判断できるようになります。

専門業務で使えるプロンプト例5つ

6. 製薬|逸脱報告書の下書き「医薬品製造における逸脱報告書の雛形を作成してください。含めるべき項目は、発生日時・発見者・逸脱の概要・製品品質への影響評価・暫定措置・是正措置および予防措置(CAPA)です。各項目に、記載時の確認観点を注釈として添えてください。」枠組みの作成には有効ですが、内容の妥当性は必ず人が判断する前提で使ってください。

7. 製薬|手順書の確認観点の洗い出し「以下のSOPと作業記録を読み、記載が食い違っている可能性がある箇所と、その理由を挙げてください。断定はせず、確認が必要な観点として列挙してください。」断定を避けさせることで、見落としの気づきを得る使い方に寄せられます。

8. 製造|不具合の原因候補の列挙「以下の不具合報告を読み、考えられる原因を人・機械・材料・方法の4つの観点で分類して挙げてください。各原因について、それを確かめるための確認方法もセットで示してください。」分析の枠組みを指定すると、発想の偏りを防げます。

9. 製造|作業手順書の言い換え「以下の作業手順書を、入社1年目の作業者が読んで理解できる表現に書き換えてください。専門用語は残したうえで、初出時に短い注釈を付けてください。手順の順序と安全上の注意は絶対に変更しないでください。」変えてよい部分と変えてはいけない部分を明示するのが要点です。

10. 小売|販促文の複数案生成「この商品の紹介文を3案作成してください。1案目は機能の具体性を重視、2案目は使用シーンの描写を重視、3案目は価格の納得感を重視してください。各案の狙いも一行で添えてください。」1つの正解を求めず、方向性の違う案を並べさせると比較検討が進みます。

精度を上げる5つのコツと代表的な手法

精度を上げる5つのコツと代表的な手法の解説図

10個の例を見て気づかれたかもしれませんが、効くプロンプトには共通する構造があります。役割を与え、前提を伝え、出力の形を決め、やってほしくないことを先に断る。この4点が揃っているかどうかで、返ってくる内容の質は大きく変わります。

ここからは、その構造を意識的に使えるようにするための考え方と、研究によって効果が確認されている手法の両方を整理します。

書き方の5つのコツ

第一に、役割を与えることです。「あなたは品質保証の担当者です」と前置きするだけで、使われる語彙と観点が業務寄りに変わります。

第二に、出力の形式を指定することです。箇条書きなのか表なのか、何字程度かを指定すれば、後工程の手直しが減ります。

第三に、前提条件を書くことです。読み手が誰で、何のために使う文書なのかを伝えると、内容の焦点が定まります。

第四に、やってほしくないことを明示することです。「推測で埋めない」「事実は断定しない」といった禁止事項は、生成AIが苦手とする誤った補完を抑える効果があります。

第五に、一度で完成させようとしないことです。出力を見てから「3番目の項目をもっと具体的に」と追加で指示するほうが、長大な初回プロンプトを書くより早く目的に近づきます。

研究で示されている代表的な手法

プロンプトの工夫は経験則だけでなく、研究によって効果が確認されているものがあります。代表的なのが、少数の例を示してから本題を与える手法です。

大規模言語モデルが少数の例示から課題を理解できることは、2020年の研究で示されました。出力形式が定まらないときは、望ましい入出力の組を2〜3個添えるだけで安定します。

もう一つが、答えだけでなく考える過程を書かせる手法です。2022年に発表された研究では、途中の推論を段階的に書かせることで、計算や論理を含む課題の正答率が向上することが報告されています。

実務では「結論の前に、判断の根拠を順に説明してください」と加えるだけでも効果が期待できます。これらの手法は特定のサービスに依存しないため、利用しているAIが変わっても応用できます。

参照元:Brown et al.「Language Models are Few-Shot Learners」(2020年)/Wei et al.「Chain-of-Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models」(2022年)

うまくいかない時の改善手順と、プロンプトの限界

うまくいかない時の改善手順と、プロンプトの限界の解説図

期待どおりの出力が得られない場合、闇雲に文面を書き換えるのではなく、原因を切り分けてください。確認する順序は、1つ目に指示が曖昧でないか、2つ目に必要な情報を与えているか、3つ目にそもそもAIが知り得ない情報を求めていないか、の3つです。

自社の社内規程や最新の製品仕様のように、AIが学習していない情報を前提とした質問には、いくら指示を工夫しても正しく答えられません。この場合に必要なのは、プロンプトの改善ではなく、社内文書を参照させる仕組みの導入です。

もう一つ、指示の工夫では埋めきれない領域があります。それが、正確さが厳しく問われる専門業務です。たとえば医薬品の品質保証で扱うGMP文書は、規制要件との整合や、複数文書間で記載が矛盾していないことが求められます。

汎用の生成AIに雛形を作らせること自体は可能ですが、規制要件を満たす精度で仕上げることや、数十ページにわたる文書群の齟齬を漏れなく検出することは、プロンプトの工夫だけでは困難です。この領域では、業務に特化して設計された仕組みを使うほうが確実です。

弊社は東京大学松尾研発のスタートアップとして、製薬の品質保証業務に特化したサービスを提供しています。

「QAI Generator」は、質問に答えるだけで必要書類をAIが自動作成するGMP文書業務の効率化サービスです。導入企業の万協製薬株式会社では変更申請書を含むGMP文書で70%の業務効率化を実現したと公表しています。経済産業省・NEDOのGENIACにも採択されています。

複数のQA文書間の齟齬を段落ごとに解析して検出する「QAI Checker」もあわせてご利用いただけます。

企業導入の課題と学習ロードマップ

企業導入の課題と学習ロードマップの解説図

個人がプロンプトを工夫できるようになっても、組織としての成果にはすぐに結びつきません。企業導入で共通して挙がる課題は、成果が個人に閉じること、機密情報の扱いが不明確なこと、そして評価基準がないことの3つです。

対策としては、業務ごとにうまくいったプロンプトを共有する場を作ること、入力してよい情報の範囲を社内ルールとして明文化すること、そして「手直しにかかる時間」など簡単な指標で効果を測ることが有効です。

学習の進め方としては、基礎的な書き方を覚える段階、自分の担当業務で型を作る段階、部門内で共有して改善する段階の順に進めると無理がありません。独学で行き詰まる多くの理由は、2段階目の「自分の業務に翻訳する」ところにあります。

弊社の「AI×DX寺子屋」は、AI・DXに関する困りごとを東大出身のAI専門家集団がチャットで解決するサービスで、プランAは月額20万円で相談し放題、月1回のオンラインミーティングが付きます。

業務特化型の教材で学びたい場合は、1回約10分の動画と確認テスト、コピー&ペーストできる実務用プロンプトテンプレートを備えた「AI×DX寺子屋 Learning」もご用意しています。

社内ルールの整備については「【企業向け】生成AIガイドラインの作り方と事例11選・必須項目(テンプレート付き)」、研修の比較は「【2026年】生成AI研修おすすめ15選と失敗しない選び方・助成金活用法」もあわせてご覧ください。

プロンプトエンジニアリングに関するよくある質問

プロンプトエンジニアリングに関するよくある質問
Q. ChatGPT以外のAIでも同じプロンプトは使えますか?

基本的な考え方は共通して使えます。役割の付与、出力形式の指定、禁止事項の明示といった要素は、サービスを問わず有効です。ただし得意分野や応答の癖は異なるため、細部の調整は必要になります。

Q. プロンプトエンジニアリングに将来性はありますか?

指示文を細かく調整する作業そのものは、モデルの性能向上によって簡略化されていく可能性があります。一方で、業務を分解して「何をAIに任せるか」を設計する力は、引き続き必要とされる領域だと考えられます。

Q. 無料で学べる資料はありますか?

主要なAIサービスの提供元は、公式ドキュメントとして指示文の設計指針を無料で公開しています。代表的なものに、OpenAIの「Prompt engineering」ガイドや、Anthropicの開発者向けドキュメントがあります。

研究の原典も論文公開サイトで無料で読めるため、手法の背景まで確認したい場合はそちらが確実です。

Q. 企業でプロンプト活用を始める際の初期費用はどのくらいですか?

ツール利用料のみであれば、まずは利用者分のライセンス費用から始められます。一方、社内文書を参照させる仕組みや専用サービスを導入する場合は、対象業務の範囲によって費用が変わるため、個別の見積もりが必要です。

Q. プロンプトの作成を外部に委託できますか?

可能です。ただし、業務の中身を最も理解しているのは社内の担当者であるため、外部が型を提供し、社内で運用しながら改善していく分担が現実的です。

まとめ

まとめ

プロンプトエンジニアリングは、特別な技術というより、AIに仕事を頼むときの伝え方を整えることに近い取り組みです。役割・前提・出力形式・禁止事項を具体的に書くだけで、出力の質は大きく変わります。本記事の要点は次のとおりです。

  • 効くプロンプトには共通構造がある。10の例は文面ではなく構造をまねて応用する
  • 少数の例示や、推論過程を書かせる手法は研究でも効果が示されており、サービスを問わず使える
  • AIが知り得ない情報や、規制対応が求められる専門業務は、指示の工夫ではなく仕組みで解決する

まずは自分の担当業務で1つ、繰り返し使える型を作ってみてください。そこから先の仕組み化でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

プロンプト活用を組織に広げたい方へ

業務ごとの型づくりから、指示の工夫では届かない領域の仕組み化まで相談できます。

一覧に戻る

まずはお気軽にご相談ください

お問い合わせはこちら