2025.10.28 <イベント出展のお知らせ>住友不動産ベンチャーサミット2025
助田 一晟 創業者&取締役 CTO、岸 尚希 創業者&代表取締役 CEO

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最先端の機械学習技術と
実務現場を結ぶ架け橋に

EQUESは、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップとして、
最先端の機械学習技術と実務現場を結ぶ架け橋となることを目指しています。

研究開発の最前線で生まれる技術を、
実際の業務現場で活用可能な形に昇華させ、
社会の発展を加速させることが私たちのミッションです。

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EQUESのサービス

創出力、価値変換力、スピード

EQUESは、高い専門性による創出力を、現場への価値変換力とスピードによって、
シームレスに産業へとつなげることを強みとしています。

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伴走型技術開発

伴走型技術開発

お客様の課題に寄り添い、要件定義から運用まで一気通貫でサポート。最先端のAI技術を活用し、現場に最適化されたソリューションを提供します。

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伴走型技術開発

製薬AI事業

製薬業界における様々な業務課題を、生成AIによる技術開発や業務支援プロダクトによって解決します。

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取引実績

EQUOSは多くの企業とパートナーシップを結んでいます。 ※一部抜粋

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AI-OCRで製造現場の記録を自動化|Cyto-Factoの導入事例

AI-OCRで製造現場の記録を自動化|Cyto-Factoの導入事例

2025.10.23

―導入した会社の紹介 Cyto-Facto(サイトファクト)は、神戸に拠点を置く細胞・遺伝子治療分野に特化したCDMO企業です。FBRIの細胞治療研究開発センターを継承し、PIC/S GMP準拠の製造体制を整備。開発から製造、品質試験まで一貫支援し、独自のシステムによるDX推進で、安全かつ高品質な先端治療の社会実装を目指しています。 ― 今回のプロジェクトを始められた背景について教えてください。 製造現場では、通信機能のない機器が多く残っており、液晶パネルや制御PCの画面に表示される情報を作業員が手作業で記録していました。従来のOCR技術では操作が難しい上、読み取り精度も不安定で、業務効率化には限界があったのです。そこで私たちは、AI-OCR技術を活用し、画像認識とデータ抽出の精度向上を目指すプロジェクトを立ち上げました。 ― 具体的にはどのような取り組みをされたのでしょうか? まず、液晶パネルや制御PC画面から取得した画像データをAI-OCRで読み取り、MESやLIMSへ自動入力する仕組みを検討しました。さらに、UIモック版やクラウド版のOCRシステムを開発し、音声入力によるデータ修正機能(日本語・英語対応)も実装しています。また、GMP/GCTP規制を考慮したインターフェース設計にも取り組みました。 ― 開発パートナーにEQUESを選ばれた理由は何ですか? EQUES様は高精度AI-OCR技術の開発実績を持ち、医療や製造分野でのGMP対応経験が豊富でした。また、オフライン環境でのOCR対応力やMES/LIMSとの連携を見据えた提案力・技術力も魅力的でした。複数の課題に対し具体的な解決策を提示していただいたことも大きな決め手です。 ― これまでにどのような成果が得られていますか? UIモック版OCRの社内動作を確認済みで、音声入力によるデータ修正機能のデモも実施しました(日本語・英語対応)。さらに、GPTモデルを活用したクラウド版OCRの開発も進行中です。サンプル画像では100%の認識精度を達成しており、GMP対応を見据えた修正履歴管理機能の設計にも着手しています。 ― 現場からの反応はいかがでしょうか? 「計画通りに開発が進んでいる」「進捗共有がタイムリーで非常にスムーズ」「本開発に向けた準備が円滑に進んだ」といった声が多く寄せられています。現場にとっても大きな期待感につながっていると感じています。 ― 今後の展望を教えてください。 今後は、GMP/GCTP対応を含めたインターフェース設計の詳細化を進めていきます。さらに、iOSやAndroidに対応したアプリの開発や、動画・動的テロップの認識といった新たな機能拡張にも取り組んでいく予定です。

東北電力×EQUES|部門専用スライド生成AIの導入事例

東北電力×EQUES|部門専用スライド生成AIの導入事例

2025.09.26

■導入会社の紹介 東北電力事業創出部門では、東北・新潟地域におけるスマート社会の実現を目指し、新規事業開発を推進しています。その中で、AI関連サービスとして、GPUクラウドサービスや東北・新潟におけるお客さまへのAIの導入支援を行っています。 ■顕在化した課題 新規事業開発という業務の性質上、事業創出部門では、日々多くのスライドを作成しています。ディスカッション資料から、提案書、さらには社内向けの進捗報告資料まで、その種類は多岐にわたります。これらのスライド作成に費やす時間より,情報収集や事業企画といった考える仕事等に時間を割きたいことが課題となっていました。 ■導入した経緯、理由、決めて 以前より、1Day研修やGPUクラウド、さらには共同でのイベント登壇といった幅広い領域でEQUES様と協業していました。そうした関係性の中で、スライド作成における課題をお伝えし、事業創出部門専用のスライド生成AIの研究を行うこととなりました。AIモデル開発に長けた優秀なエンジニアが在籍し、スピード感をもって開発を進められるというEQUES様の強みが決めてとなりました。 ■導入後の成果 現在、本格的な開発に向けた研究段階ですが、すでにスライド作成の業務効率化に貢献する兆しが見え始めています。既存のスライド生成AIサービスとは異なり、事業創出部門のフォーマットやテイストに合わせたスライドが生成できつつあります。また、UIについても部門メンバーが利用しやすいように設計いただきました。 ■社内での声 研究段階のため、まだ本格的な利用には至っていませんが、部門内での期待は高まっています。研究の概要を伝えたところ、「早く使ってみたい」「使い勝手が良さそうだ」といったポジティブな声が多く寄せられました。今後もEQUES様と連携し、本番環境に向けた研究・開発も前向きに検討していきたいと考えています。 ■今後の展望 スライド生成AIに加え、EQUES様とは引き続き、GPUクラウドやパーソナルLLM構想など、多岐にわたるテーマで協業を検討していきたいと考えています。EQUES様の先進的な技術力と、当社の事業を深く理解し伴走してくれる姿勢に信頼を置いています。引き続き、EQUES様と密接に連携し、東北発のスマート社会実現に向けた新たな価値創出を目指していきます。

Essencimoが語る、生成AI活用の第一歩と「AI DX寺子屋」導入の実感

Essencimoが語る、生成AI活用の第一歩と「AI DX寺子屋」導入の実感

2025.07.16

■導入企業の紹介 株式会社Essencimoは、2019年4月に設立された、補助金申請支援を主力とする成長企業です。東京・千代田区に本社を構え、約30名の若手中心のチームで運営されています。同社の中心サービス「補助金オフィス」は、年間採択率90%以上という業界屈指の実績を誇り、これまでの累計採択額は15億円以上に達します。ものづくり補助金や事業再構築補助金といった中小企業庁関連の各種補助金申請はもちろん、採択後の報告書作成まで、一貫したサポートを提供しているのが特徴です。経済産業省認定の認定経営革新等支援機関として、数千の全国補助金に対応できる専門性を持ち、一般的な採択率35%を大きく上回る実績で、業界における確固たる信頼を築いています。代表取締役の杉田龍惟氏は東京大学経済学部を卒業後、学生時代から補助金業界に携わり、同社を創業。「社会システムの合理化により、意味のあるシゴトだけに取り組める状態を目指す」という理念を掲げ、表面的な支援に留まらず、企業の根本的な課題解決に注力しています。 ■顕在化した課題 株式会社Essencimoでは、生成AIの本格的な活用に向けて、ある種の壁に直面していました。現場の従業員からは「そもそも生成AIをどう業務に取り入れたらいいのか分からない」という声が聞かれ、AIリテラシーには個人間で大きなばらつきがあるのが実情でした。積極的に使おうとするメンバーがいる一方で、その機能を十分に引き出しきれていないという課題も存在していました。これは、会社全体として生成AIの統一的な活用方針やガイドラインが定まっておらず、個々の取り組みに任されている部分が大きかったためです。結果として、生成AIを導入して業務効率化や新たな価値創造を目指したいものの、具体的な活用方法やその効果をどう測るべきかが不明瞭な状態が続いていたのです。 ■導入の経緯・理由・決め手 このような状況下で、株式会社Essencimoは、生成AIの業務活用を全社的に推進するため、EQUESの**「AI DX寺子屋」**の導入を検討しました。導入の決め手となったのは、まず杉田様からのトップダウンによって、全社的に生成AI活用への意識が高まっていたことでした。この方針を受け、現場の従業員が抱える「何を質問すればいいのか分からない」「どう使っていいか分からない」といった具体的な疑問に対し、テキストベースで個別の相談に応じてもらえる「AIツールコンサル」のような形式が、現状のリテラシーレベルに合わせたサポートとして非常に有効だと判断されました。社内だけではなかなか進まなかったAI活用のノウハウや具体的なアプローチについて、外部の専門家であるEQUESから客観的な知見を得ることで、より効率的かつ効果的に生成AIの導入を進められると期待されたのです。Essencimoでは他に類似のソリューションは検討しておらず、EQUESのサービスが現在の課題解決に最も適していると判断し、導入に踏み切りました。 ■導入後の成果 「AI DX寺子屋」の導入後、株式会社Essencimoの従業員からは具体的な質問がEQUESに寄せられ、それに対しテキストベースで丁寧な回答が提供されました。特に、回答に参考となるURLが添付されていたことは、質問者がさらに深く内容を理解し、自ら調べる上で非常に役立ったと好評でした。 しかし、同時に新たな課題も浮き彫りになりました。それは、Essencimo側の十分なリソースが確保できなかったことや、回答を具体的な業務に落とし込む難しさです。従業員のAIリテラシーに幅があるため、「質問に対する回答を得ても、それを実際にどう業務に活かせばいいか分からない」という声や、「日常的にAIを使っているメンバーでも、現状のAIでできること以上の高度な活用にはまだ至っていない」といった実情も認識されました。一方で、EQUESからの回答が単なる「答え」に留まらず、「なぜその結果になったのか」という技術的な背景や思考プロセスまで丁寧に説明されていた点は高く評価されています。これにより、従業員はAIの特性や限界、そして応用可能性について、より深く考察するきっかけを得ることができました。 ■社内での声 今回の「AI DX寺子屋」の導入について、株式会社Essencimoの従業員からは様々な声が聞かれました。 「AIリテラシーにばらつきがある中で、何を質問すればいいか分からない人にも具体的なヒントが提供され、AI活用のハードルが下がったと感じています。普段からChatGPTを使っている従業員にとっても、より高度な質問や活用方法を模索する良いきっかけになりました。ただ、1ヶ月という期間では、期待するレベルに到達するにはもう少し時間が必要だと感じたのも正直なところです。EQUESからの回答は具体的で、参考リンクの提供があったのも非常に良かったです。自分たちでさらに深掘りして調べる手がかりになりました。また、業務が属人的な部分が多い中、今回の相談サービスを通して、現状の業務でAIが活用できそうな領域を再認識できたのは大きな収穫でした。」 ■今後の展望 株式会社Essencimoでは、今回の「AI DX寺子屋」の活用経験を踏まえ、今後の生成AI活用に関して具体的な展望を抱いています。まず、現状個人に委ねられている生成AIの活用について、会社全体として「どのように活用していきたいのか」という明確な方針を定めることを最優先課題と捉えています。これにより、従業員間のAIリテラシーのばらつきを是正し、全社的なAI活用を推進する強固な土台を築いていく考えです。 次に、ExcelやWord、PowerPointなど、現行業務で頻繁に使用するツールへの生成AIの活用をさらに深化させ、質の高い業務を維持しつつ、一層の効率化を図っていきます。特に、補助金申請書類の作成といった属人的な業務において、現状のAIではまだ代替が難しい部分についても、将来的なAIの進化を見据えつつ、可能な範囲での活用を模索していく計画です。 さらに、補助金情報の収集が情報源ごとに散在しているという課題に対し、自動化の可能性も検討していきます。現時点では人力での収集が中心ですが、将来的には規則性のない情報収集においてもAIを活用できるよう、EQUESのような外部パートナーとの連携も視野に入れています。そして、社内でAI活用を推進するキーパーソンを育成し、「AI DX寺子屋」で得た知見を社内に展開していくことで、さらなるAIリテラシーの向上と、具体的な業務への落とし込みを加速させていく方針です。 株式会社Essencimoは、生成AIの活用を通じて、より効率的で質の高い補助金申請サポートを提供し、顧客企業の成長に貢献していくことを目指しています。

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Member

メンバー

  • 岸 尚希 創業者&​代表取締役 CEO

    東京大学大学院.ex 松尾研プロジェクトマネジャー.
    松尾研起業クエスト1期生.
    松尾研チーフAIエンジニアとして企業との共同研究に従事.その後,現実世界と情報学の融合を志し,計数工学科在学時にEQUESを創業.専門はシステム情報学,特にテラヘルツ波通信とハプティクス(触覚技術).

  • 助田 一晟 創業者&取締役 CTO

    東京大学大学院. ex 松尾研プロジェクトマネジャー
    松尾研起業クエスト2期生.産総研「覚醒」事業採択.
    AIビジネスコンテスト全国優勝後,計数工学科で現CEO岸と出会いEQUESを創業.
    専門は数理情報学であり,クラスタリング最適化や医療AI分野の研究でトップジャーナルや国際会議に採択されている.

松尾 豊

Advisor

アドバイザー

松尾 豊

技術顧問

2007年より,東京大学大学院工学系研究科准教授. 2019年より教授. 専門分野は,人工知能,深層学習,ウェブマイニング. 人工知能学会からは論文賞(2002年),創立20周年記念事業賞(2006年),現場イノベーション賞(2011年),功労賞(2013年)の各賞を受賞. 2020-2022年,人工知能学会,情報処理学会理事. 2017年より日本ディープラーニング協会理事長. 2019年よりソフトバンクグループ社外取締役. 2021年より新しい資本主義実現会議 有識者構成員. 2023年よりAI戦略会議座長.

Column

コラム

生成AI 3D CADとは何か説明する画像

生成AI CAD活用術|3D CAD のAIによる設計効率化とツールの選び方

2025.10.28

「また設計ミスで手戻りが発生してしまった。。」 「もっと作図時間を短縮できれば、新しいアイデアを試す時間も生まれるのに」 「ベテランのノウハウをどうやって若手に継承すればいいだろうか」 製造業の設計チームを率いるリーダーとして、このような課題に日々頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 この記事では、そうしたお悩みを解決する一手として注目されている『生成AI CAD』について、その可能性と具体的な活用法を掘り下げていき、生成AIがどうやって設計業務を効率化するのか、そして自社に最適なツールを選ぶための視点を分かりやすく解説します。 この記事を読み終える頃には、生成AI CADがもたらす未来を具体的にイメージし、自社の課題解決に向けた次の一歩を踏み出すためのヒントを得ていただけていると嬉しいです。 AIについてのご相談はこちらから そもそも生成AIとは?CADとの関係 「生成AI」という言葉をニュースなどで耳にする機会も増えましたが、具体的にどのようなものかご存知でしょうか。 生成AI(ジェネレーティブAI、GenAI)とは、まるで人間のように、新しいデータやコンテンツ(文章、画像、音楽など)を自ら「生成」することができるAIのことです。大量のデータからパターンや構造を学習し、人間が入力するプロンプト(指示)に基づいて新しい情報として出力することを特徴とします。 では、この生成AIが設計業務で使われる2D CADや3D CADと結びつくと、何が可能になるのでしょうか。 従来のCADは、設計者が一つひとつ手動で線を引き、形状を作成していくツールでした。しかし、生成AI CADでは、設計者が「この部品は、この部分とこの部分を繋ぎ、これくらいの荷重に耐えられるようにしてほしい」といった『要件』や『目的』をインプットするだけで、AIがその条件を満たす最適な形状の候補を複数、自動で生成してくれるのです。 これは、設計のプロセスが「独創」から「対話」へと変わる、大きな変革と言えるでしょう。 生成AIが3D CAD設計を革新する4つの理由 生成AI CADの連携は、単なる作業の自動化にとどまらず、設計業務そのものの質を向上させる可能性を秘めています。ここでは、具体的な4つのメリットをご紹介します。 1. 設計時間の大幅な短縮 従来、何時間もかけて行っていた初期設計や代替案の検討を、生成AIは数分から数十分で完了させることができます。設計者は、AIが提案した複数の設計案を比較検討し、より創造的な作業に集中できるようになります。これにより、開発サイクル全体のスピードアップが期待できます。 2. ヒューマンエラーの削減と品質向上 生成AIは、人間が設定した荷重や拘束条件といった物理的な制約を厳密に守りながら、最適な設計案を導き出します。これにより、勘や経験に頼ることで生じがちな設計ミスや見落としを防ぎます。また、人間では思いつかないような、軽量でありながら高い剛性を持つ構造などを発見することもあり、製品の品質向上にも直接的に貢献します。 3. 無数の設計パターン生成と構造の最適化 生成AIの最も優れた能力の一つが、与えられた条件下で考えうる無数の設計パターンを高速で生成し、その中から最適なものを提案してくれる「ジェネレーティブデザイン」という技術です。例えば、「最も軽量な形状」「強度が最大になる形状」といった目的に合わせて、材料の使用量を最小限に抑えた革新的なデザインを生み出すことができます。 4. 人手不足の補完と技術継承 熟練設計者の持つノウハウや思考プロセスの一部を、AIが代替・サポートしてくれるようになります。これにより、経験の浅い設計者でも一定レベル以上の設計案を迅速に得ることができ、教育期間の短縮や業務の標準化に繋がります。チーム全体の設計能力の底上げが図れるため、深刻化する人手不足への有効な対策となり得ます。 【目的別】代表的な生成AI CADツール4選 現在、多くのCADソフトウェアが生成AI(特にジェネレーティブデザイン)の機能を搭載し始めています。ここでは代表的な4つのツールを比較し、どのような目的を持つ企業に適しているかを見ていきましょう。 ツール名開発元特徴こんな企業におすすめAutodesk FusionAutodeskクラウドベースでデータ共有が容易。豊富な機能が統合されており、コストパフォーマンスに優れる。スタートアップや中小企業、部門間の連携を重視する企業CreoPTCハイエンド3D CADの代表格。大規模で複雑なアセンブリ設計に強く、高度なシミュレーション機能も統合。自動車や航空宇宙など、大規模で高性能が求められる製品を開発する企業Solid EdgeSiemens直感的な操作性が特徴。他のCADデータとの連携もスムーズで、既存の設計資産を有効活用しやすい。既存の2D/3Dデータを活用しつつ、効率的に3D設計へ移行したい企業3D Structure CreatorSolidworksクラウドプラットフォーム「3DEXPERIENCE」上で動作。構造設計に特化しており、構想設計から詳細設計までをカバー。チームでのコラボレーションや、場所を選ばない設計環境を求める企業 生成AI CADツールの導入を成功させるには? 魅力的な生成AI搭載CADツールですが、ただ導入するだけでは期待した成果を得られないこともあります。成功のためには、自社の目的を明確にし、それに合ったツールと導入方法を選ぶことが不可欠です。 自社に合うツールの選び方 上記の比較表を参考にしつつ、「何をどう解決したいのか」という視点でツールを選びましょう。 ツール選びの例: コストを抑えつつ、設計から製造までを一気通貫で管理したい → Autodesk Fusion 極めて高い精度や性能が求められる複雑な製品を扱っている → Creo 既存の設計プロセスをスムーズに3D化・効率化したい → Solid Edge チームや拠点間でのシームレスな共同作業を実現したい → 3D Structure Creator 課題や目的に応じて「開発」するのも一つの手 既存のツールを導入するだけでなく、自社の特殊な設計プロセスや課題に合わせて、独自のAIツールを開発するという選択肢もあります。 「既存のツールでは機能が多すぎて使いこなせない」「自社独自のノウハウをAIに組み込みたい」といった場合には、オーダーメイドの開発が有効です。例えば、特定の製品群に特化したパラメータをAIに入力するだけで、自動で図面を生成するようなシステムも構築可能です。 弊社、株式会社EQUESは、AIを用いた「伴走型技術開発」を得意としています。お客様の課題を深くヒアリングし、本当に必要なAIソリューションを共に創り上げることで、導入後の成果を最大化するお手伝いをいたします。 【実例】AI 3D CADの導入成功事例に学ぶ AIと3D CADの組み合わせは、すでに多くの企業で目覚ましい成果を上げています。ここでは、具体的な成功事例を2つご紹介します。自社の課題と照らし合わせながら、活用のヒントを見つけてみてください。 事例1:【自動車部品】AI 3D CADで設計開発期間を短縮、8つの部品を一つに(General Motors社) 世界的な自動車メーカーであるGeneral Motors(GM)は、次世代の電気自動車(EV)開発において、部品の軽量化と性能向上という課題に直面していました。特に、シートブラケットという部品は、乗員の安全を守る強度を保ちながら、可能な限り軽くする必要がありました。 そこで同社は、Autodeskのジェネレーティブデザイン技術を導入。設計要件(強度、材質、固定位置など)を入力し、AIに最適な形状を150パターン以上も提案させました。 課題: 安全性を維持しつつ、部品を極限まで軽量化したい。 AIの活用: AIに最適な形状を複数提案させ、最適な設計を比較検討。 成果: 最終的に採用された設計は、元々8つの細かいパーツを溶接して組み合わせたものを一つの部品として扱った独創的なもので、従来の部品より40%軽く、20%高い強度を効率的に実現しました。 この事例は、生成AI 3D CADが大量のデータを用いて設計案を複数出してくれることで、開発の効率が飛躍的に上昇する可能性を示しています。(参照・写真引用元: Autodesk News - Driving a lighter, more efficient future of automotive part design) 事例2:【航空機産業】人工衛星の部品を20%軽量化(Airbus社) 航空産業では、燃料コストやCO2削減のために1mg単位での軽量化が常に求められます。航空機メーカーのAirbusは、航空機A320に搭載されるパーティション(間仕切り壁)の設計にジェネレーティブデザインを活用しました。 このパーティションは、客室乗務員の座席を支えつつ、緊急着陸時の衝撃にも耐える必要がある複雑な部品です。  課題: 燃料コストとCO2削減のため、強度を維持しながら部品を極限まで軽量化したい。  AIの活用: 生物の骨格構造を参考にしたAI独自のアルゴリズムで、最適な構造を計算。  成果: AIが生成したデザインは、まるで植物の細胞や骨の構造を思わせる有機的な形状でした。このデザインを3Dプリンターで製造した結果、従来のパーティションと比較して重量を45%以上も削減することに成功しました。年間最大465,000トンのCO2排出量を削減できるとも見積もられています。 この事例は、AIと3Dプリンティング技術を組み合わせることで、従来工法では製造不可能だった革新的な設計が実現可能になることを示しています。(参照・写真引用元: Airbus - Pioneering bionic 3D printing) ​【Q&A】生成AI×CAD導入についてよくある質問 ​新しい技術の導入には、期待と共に不安がつきものです。ここでは、皆様からよく寄せられる質問とその考え方についてお答えします。 ​Q1. AIが生成した設計は、本当に信頼できるのでしょうか? A. とても大切な質問です。結論から言うと、AIはあくまで「優秀なアシスタント」であり、最終的な判断を下すのは設計者自身です。AIは、設定された条件に基づいて、人間では思いつかないような無数の選択肢を客観的に提示してくれますが、その設計案が本当に製品として適切かどうかを判断し、責任を持つのは人間の役割です。AIの計算能力と人間の経験知を組み合わせることで、これまで以上に信頼性の高い設計を目指すことができるのです。 ​Q2. 操作を覚えるのが大変そうで、現場のメンバーが使いこなせるか心配です。 ​A. ご安心ください。最近のツールは、誰でも直感的に操作できるよう、ユーザーインターフェースが非常に洗練されています。また、いきなり全ての機能を使いこなす必要はございません。まずは特定の部品の軽量化など、目的を絞って試してみるのが良いでしょう。小さな成功体験を積み重ねることで、チーム全体のスキルアップに繋がります。 弊社では、月額制でAI専門家集団にチャットで相談し放題の『AIDX寺子屋』といったサービスもご提供しており、導入後のつまずきを解消するサポートが可能です。  ご興味をお持ちの方はぜひお問い合わせください。 お問い合わせはこちら ​Q3. 導入コストが高いのではないでしょうか? ​A. 確かに、高機能なソフトウェアには相応の費用がかかります。しかし、クラウドベースで提供されるツールも増えており、以前より初期投資を抑えて導入できるようになりました。大切なのは、単なる「費用」ではなく、設計時間短縮や試作品コストの削減、製品品質の向上によって得られる効果を含めた「投資対効果(ROI)」で判断することです。無料の体験版などを活用して、まずはその効果を実感してみることをお勧めします。 ​Q4. AIに仕事を奪われてしまうのではないかと不安です。 ​A. これは多くの方が抱く不安かもしれません。しかし、私たちは「仕事が奪われる」のではなく「仕事の内容が進化する」と考えています。生成AIは、時間のかかる繰り返し作業や詳細な計算といった業務を得意とします。そうした作業をAIに任せることで、人間である設計者は、より創造性が求められるコンセプトの創出や、お客様との対話、そして最終的な意思決定といった、人間にしかできない付加価値の高い仕事に集中できるようになるのです。AIとの働き方についてまとめた記事もございますので、詳しくはこちらをご覧ください。 まとめ 今回の記事では、生成AIとCADを連携させることで、いかに設計業務を効率化し、革新できるかについて解説しました。生成AIとCADの連携は、設計時間の短縮、品質向上、新たな設計パターンの創出、そして人手不足の解消といった多くのメリットをもたらし、企業の競争力を高める強力な一手となり得ます。 記事内容の要約: 生成AIは、要件を入力するだけで最適な形状を自動生成し、設計プロセスを変革する。 代表的なツールにはそれぞれ特徴があり、自社の目的や課題に合わせて選ぶことが重要。 既存ツールの導入だけでなく、自社の状況に合わせた「AIツールの開発」も有効な選択肢である。 製品設計の現場は、常に時間と品質、そしてコストとの戦いです。生成AIという新しいパートナーを得ることで、これまで乗り越えられなかった壁を突破できるかもしれません。 もし、「自社の場合、どんなツールが合うだろうか?」「AI開発に興味があるが、何から始めればいいか分からない」といったお悩みやご関心がございましたら、ぜひお気軽に弊社にご相談ください。東大出身のAI専門家集団が、皆様の挑戦を全力でサポートいたします。  お問い合わせはこちら

AIエージェントとは何かを解説している記事のアイキャッチ画像

AIエージェントとは?仕組みと種類、自動決済等の未来について徹底解説

2025.10.15

「AIエージェント」という言葉をご存じですか? 単なるプログラムを超え、まるで意思を持っている「エージェント」かのようにタスクをこなすその姿は、近未来のSFのようで目を離せません。 この記事では、その魔法のような動きの裏側にある技術的な心臓部、すなわちAIエージェントが「どのように世界を認識し、考え、そして行動するのか」という根本的な仕組みを、AIの専門家が分かりやすく解き明かします。また、その未来の展望までを深く掘り下げていきます。この記事を読み終える頃には、AIエージェントの技術的な本質を理解し、その無限の可能性をよりクリアにイメージできていると嬉しいです。 AIに関するお問い合わせはこちら AIエージェントとは - 自律的に思考し、行動する新しいAI まず、AIエージェントがどのような存在なのか、その定義と、混同されがちな他のAI技術との違いから見ていきましょう。 AIエージェントの定義 AIエージェントとは、特定の目標を達成するために、自らが置かれた状況を認識し、自律的に計画を立て、判断・行動する能力を持つAIプログラムです。重要なのは「自律性」です。人間が一つ一つの手順を細かく指示するのではなく、「〇〇を達成して」という抽象的な目標を与えるだけで、エージェント自身が最適な行動計画を立て、実行に移します。 この能力により、AIエージェントは単なるツールではなく、私たちの代理人(Agent)として、複雑なタスクを遂行するパートナーのような存在となり得るのです。 AIアシスタントやチャットボットとの決定的な違い AIエージェントと、Siriのような「AIアシスタント」やWebサイトの「チャットボット」との間には、明確な違いがあります。 ツールの種類イメージ図ツールの内容チャットボット主に顧客対応に特化し、決められたルールやFAQに基づいて一定の応答をする。AIアシスタント「今日の天気は?」などといった簡単な指示に対し、情報を検索して答えを返すなど、「単一のタスク」を実行する。AIエージェント「来週の大阪出張を手配して」などといった「目標」に対し、フライト検索、ホテル予約、カレンダー登録といった複数のタスクを自律的に計画し、連携させて実行する。 この「目標達成のための計画性と行動力」こそが、AIエージェントを際立たせる最大の特徴です。 AIエージェントを動かす中心:LLMの設計とReAct さて、AIエージェントはどのようなシステムで働いているのでしょうか? AIエージェントの頭脳(LLM=Large Language Model)は、人間が何かのプロジェクトを実行する際に利用するPDCAサイクル(Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善))と同じものを自律的に回すことができます。 Plan (計画) 目標の理解とタスク分解: 与えられた抽象的な目標(例:「出張を手配して」)を理解し、達成に必要な具体的なステップへと分解します 。 行動計画の策定: 分解した各ステップを実行するために、どのツール(API、データベース検索など)を、どのような順番で使うべきかの計画を立てます 。 結果の予測: 行動がどのような結果をもたらすかを、内部に持つモデル(知識)を基に予測し、最適な計画を選択します 。 Do (実行) ツールの使用: 計画に基づいて、APIの実行やデータベースへのアクセスなど、定義された「ツール」を実際に使用してタスクを遂行します 。 環境への働きかけ: ツールを通じて、デジタル環境(Webサイトの操作、ファイルの生成など)あるいは物理環境(ロボットアームの操作など)に直接働きかけ、行動を起こします 。 Check (評価) 結果の観測: 実行した行動の結果や、外部ツールからの返り値を観測(認知)し、計画通りに進んでいるかを確認します 。 自己評価と進捗確認: 行動の結果が目標達成に貢献したか、あるいはエラーが発生していないかを評価し、目標までの進捗状況を判断します。 Act (改善) 計画の修正: 予期せぬ結果やエラーが発生した場合、当初の計画をリアルタイムで修正し、別のツールを使ったり、別のアプローチを試したりします。 経験からの学習: 成功・失敗の経験をメモリに蓄積し、次回の計画立案時により精度の高い、効率的な行動を選択できるように自己改善します 。 AIエージェントでは、このPDCAサイクルは、主に「ReAct(Reason and Act)」と呼ばれる思考パターンに基づいて設計されます(下図)。 (Chat botにReActパターンを導入して推論力を強化してみた! -Ramble を参考に図を作成) タスクを分解し、実行中にReason(理由づけ)とAct(実行)のサイクルを自律的に繰り返すこの構造は、品質向上やミスの防止につながります。 また、AIエージェントには、RAG(=特別にアクセスすることのできる知識)とAPI連携(=他サービスと連携して実務を行う能力)をカスタマイズして持たせることができます。例えば、企業のメール自動送信AIエージェントを作るには、企業固有の情報のファイルの閲覧権限やメールへのログイン権限を渡し、特定の指示に従ってメールを送信する能力を与えます。 他にも、複雑な環境下で様々なタスクを行うにあたって、人間や他のAIエージェントなど他人と連携して行動する協調能力を備えていることもあります。 AIエージェントが自動決済も|最新動向と未来の展望 AIエージェントの技術は今も進化を続けており、その可能性をさらに広げる新しい概念が登場しています。 複数のエージェントが協調する「マルチエージェントシステム」 単体のエージェントだけでなく、それぞれが専門性を持つ複数のAIエージェントが、互いにコミュニケーションを取りながら協調して、より大きな問題を解決する「マルチエージェントシステム」の研究が進んでいます。これは、人間が会社という組織を作って分業するのに似ています。例えば、リサーチ担当エージェント、分析担当エージェント、レポート作成担当エージェントが連携して、一つの市場調査レポートを完成させる、といったことが可能になります。 自律的な経済活動の始まり:「Agent Payments Protocol (AP2)」の衝撃 AIエージェントの行動範囲を劇的に広げる可能性を持つのが、Google社が2025年9月24日に発表した「Agent Payments Protocol (AP2)」です。これは、AIエージェントが人間の承認なしに、自律的かつ安全に決済を行えるようにするための技術的なルールの構想です。 この仕組みが実現すれば、AIエージェントは単に情報を処理するだけでなく、人が決めた予算の範囲内でサービスを契約したり、物品を購入したりといった経済活動の主体となり得ます。例えば、工場のAIエージェントが部品の消耗を検知し、最もコストパフォーマンスの良いサプライヤーを探し出して自動で発注・決済を行う、といった真の自律的なサプライチェーン管理が現実のものとなるでしょう。 (※情報は2025年10月14日時点のものです。) まとめ:AIエージェントの仕組みを理解し、未来を見通す この記事では、AIエージェントがどのようにして自律的に思考し、行動するのか、その中心的な「仕組み」について詳しく解説しました。 AIエージェントの本質: 単なるプログラムではなく、環境を認知し、目標達成のために推論し、ツールを使って行動する自律的な存在です。 思考の源泉: この「認知・推論・行動」のサイクルが、AIエージェントのインテリジェンスの核をなしています。 能力の多様性: 推論エンジンの設計によって、単純な反射行動から、経験を通じて自らを賢くする学習能力まで、様々なレベルのエージェントが存在します。 未来の展望: 複数のエージェントが協調したり、決済能力を持って経済活動に参加したりと、その活躍の場はますます広がっていくことが予想されます。 AIエージェントの仕組みを理解することは、今後のテクノロジーの進化と、それに伴う社会の変化を深く見通すための鍵となります。この技術が私たちの未来をどのように形作っていくのか、引き続き注目していく必要があるでしょう。 弊社、株式会社EQUESは、AIに関する高度な専門知識と豊富な実績で、皆様の挑戦を「伴走者」として全力でサポートします。「AIエージェントについて、どこから導入すればいいのかわからない」「AIエージェントを導入したいが金銭面や効果の面で不安が残る」といったお悩みにお力添えするためのサービスとして、 定額制でAIについて何でも専門家に相談できる「AI×DX寺子屋」 生成AIの本格導入に向けた実証実験(PoC)パッケージ「ココロミ」 をご用意しておりますので、ぜひご検討ください。またお悩みのことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせはこちら

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AIエージェント開発|企画から費用まで徹底解説【完全ガイド】

2025.10.15

「最近よく耳にするAIエージェント。自社にどう活かせるのだろうか」 「AIエージェントを開発したいが、何から手をつければ良いかわからない…」 このような疑問や悩みを抱えていませんか。生成AIの進化に伴い、自律的にタスクを実行するAIエージェントは、ビジネスの生産性を飛躍的に向上させる可能性を秘めており、多くの企業がその導入を検討し始めています。 この記事では、AIエージェントの基本から、開発に必要な技術、具体的な開発ステップ、さらには費用感まで、全体像を包括的に解説いたします。AIエージェントの仕組みについて詳しく書いた記事もございますので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 この記事を読み終える頃には、AIエージェント開発に関する漠然とした不安が解消され、自社で導入を進めるための具体的な道筋が見えている状態になっていると嬉しいです。 AIに関するご相談はこちらから AIエージェントとは? 基本構造と注目の背景 AIエージェントとは、人間のように状況を認識・判断し、目標達成のために自律的に行動するAIのことです。従来の、決められた命令をこなすだけのプログラムとは一線を画し、与えられた目的に向かって自ら計画を立て、ツールを使いこなし、タスクを遂行する能力を持ちます。 なぜ今、AIエージェントが注目されるのか AIエージェントが急速に注目を集めている最大の理由は、大規模言語モデル(LLM)の驚異的な進化にあります。人間のように自然な対話ができるLLMが「頭脳」の役割を担うことで、AIは単に情報を提供するだけでなく、複雑な指示を理解し、多段階のタスクを計画・実行する能力を獲得しました。 実際に、世界のAI市場は急速な成長が見込まれており、調査会社Grand View Researchの報告によれば、その市場規模は2023年の2792億2000万米ドルから、2033年には3兆4972億6000万米ドルに達すると予測されています。この成長の大きな要因の一つが、AIエージェントのような新たな技術の台頭です。 参照元:Artificial Intelligence Market (2025 - 2033) AIエージェントの基本的な仕組み AIエージェントは、主に以下の4つのステップを自律的に繰り返しながら動作します。 思考(Thought): 与えられた目標を達成するために、次に何をすべきかを考え、行動計画を立てます。 ツール選択(Action): 計画を実行するために、利用可能なツール(例:Web検索、データベースアクセス、計算機など)の中から最適なものを選択します。 実行(Execution): 選択したツールを実行し、具体的な操作を行います。 観察(Observation): ツールの実行結果を観察し、目標達成に近づいたか、あるいは新たな情報が得られたかを確認します。この結果を元に、再び「思考」のステップに戻ります。 このサイクルを繰り返すことによって、AIエージェントは複雑なタスクを段階的に解決します。AIエージェントの仕組みについてさらに詳しく書いた記事もございますので、詳しくはこちらをご覧ください。 AIエージェント開発に不可欠な主要技術 AIエージェントは、いくつかの先進的な技術を組み合わせることで実現されています。ここでは、特に重要となる3つの技術について解説します。 頭脳を司る「大規模言語モデル(LLM)」 LLMは、AIエージェントの中核をなす「頭脳」です。人間の言葉を理解し、論理的な思考や計画立案、文章生成など、高度な知的作業を担います。どのLLMを選択するかによって、AIエージェントの性能が大きく左右されるため、目的に応じて最適なモデル(例: GPT-4、 Claude 3など)を選定することが重要です。 外部知識を活用する「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」 RAGは「検索拡張生成」と訳され、AIエージェントが最新情報や社内データといった外部の専門知識を参照できるようにするための技術です。LLMが元々持っている知識だけでは、情報が古かったり、社外秘のデータに対応できなかったりする場合があります。RAGは、こうした外部の知識をリアルタイムで検索し、その情報を基に回答を生成することで、より正確で信頼性の高い応答を可能にします(この技術は、LLMの弱点である「ハルシネーション」と呼ばれる、もっともらしい嘘をつく現象を抑制する効果もあります)。 外部ツールと連携する「API連携」 AIエージェントが真に価値を発揮するためには、様々な外部システムやツールと連携し、実際に「行動」を起こす能力が不可欠です。例えば、顧客情報をCRM(顧客関係管理システム)から取得したり、経費精算システムにデータを入力したり、メールを送信したりといった操作です。これを実現するのがAPI(Application Programming Interface)連携であり、APIを通じて外部サービスを操作することで、AIエージェントは単なる対話相手から、業務を代行する有能なアシスタントへと進化します。 AIエージェント開発の全体像|企画から運用までの5ステップ AIエージェントの開発は、一般的に以下の5つのステップで進められます。全体の流れを把握することで、スムーズなプロジェクト進行が可能になります。 STEP1:企画・要件定義 目的の明確化: 「何のためにAIエージェントを導入するのか」「どの業務課題を解決したいのか」を具体的に定義します。例えば、「問い合わせ対応の工数を30%削減する」「営業担当者の資料作成時間を半減させる」といった数値目標を設定します。 スコープの決定: AIエージェントに任せる業務の範囲を明確にします。対応する問い合わせの種類、利用するデータ、連携するシステムなどを具体的に洗い出します。 STEP2:設計 システム構成の設計: どのLLMを使用し、どのような外部データ(RAG)やツール(API)と連携させるかなど、技術的な構成を設計します。 対話フローの設計: ユーザーとの対話の流れや、AIエージェントの振る舞い(ペルソナ)を設計します。エラーが発生した場合の対処法などもここで決めておきます。 STEP3:開発・学習 プロトタイプ開発: 設計に基づいて、小規模な試作品(プロトタイプ)を開発します。ここで基本的な動作を確認し、技術的な課題を洗い出します。 データ連携・学習: RAGで参照させる社内マニュアルやデータベース、APIで連携する外部システムとの接続部分を実装します。必要に応じて、特定の業務に特化した知識を追加で学習させます。 STEP4:テスト 精度・動作検証: 想定される様々なシナリオでテストを行い、AIエージェントが意図通りに動作するか、回答の精度は十分かを確認します。 ユーザーテスト: 実際に業務で利用する従業員に試用してもらい、使いやすさや業務改善効果についてフィードバックを収集します。 STEP5:運用・改善 本番導入・効果測定: テストで得られたフィードバックを元に修正を行い、実務への導入を開始します。導入後は、事前に設定したKPI(重要業績評価指標)を元に効果を測定します。 継続的な改善: ユーザーからのフィードバックや利用ログを分析し、定期的にAIエージェントの性能改善や機能追加を行っていきます。AIエージェントは「作って終わり」ではなく、「育てていく」ことが重要です。 AIエージェント開発を加速させる代表的なフレームワーク AIエージェントをゼロから開発するのは非常に大変ですが、便利な開発ツール(フレームワーク)を活用することで、開発効率を大幅に向上させることができます。ここでは、代表的な2つのフレームワークをご紹介します。 LangChain LangChainは、LLMを活用したアプリケーション開発のための最もポピュラーなフレームワークの一つです。AIエージェントの基本構造や、様々なツールとの連携機能などが予め部品(コンポーネント)として用意されており、それらを組み合わせることで比較的容易にAIエージェントを構築できます。 参照元:LangChain公式サイト(https://www.langchain.com/) LlamaIndex LlamaIndexは、特にRAGの機能に特化したフレームワークです。PDF、Word、PowerPointといった多様な形式の社内ドキュメントを効率的にLLMに連携させるための機能が豊富に用意されています。自社の独自データを活用したAIエージェントを開発する際に非常に強力なツールとなります。 参照元:LlamaIndex公式サイト(https://www.llamaindex.ai/) AIエージェントの活用方法3選 AIエージェントは、様々な業務領域でその価値を発揮します。ここでは、代表的な3つの活用方法をご紹介します。 営業支援  顧客との商談履歴や過去の提案書データを学習したAIエージェントが、顧客に合わせた提案書のドラフトを自動で作成したり、商談の議事録を要約してCRMに自動入力したりします。これにより、営業担当者は事務作業から解放され、顧客との対話といったコア業務に集中できます。 カスタマーサポート 製品マニュアルや過去の問い合わせ履歴(FAQ)を学習したAIエージェントが、顧客からの質問に24時間365日、自動で回答します。一次対応をAIエージェントに任せることで、オペレーターの負担を軽減し、より複雑で専門的な問い合わせに集中できる環境を整えます。 社内業務自動化 経費精算や勤怠管理、社内規定に関する問い合わせなど、バックオフィス部門の定型的な業務をAIエージェントが代行します。従業員はチャットで依頼するだけで各種申請が完了したり、必要な情報を即座に入手したりできるようになり、組織全体の生産性向上に繋がります。 開発費用・期間の目安と見積もり依頼のポイント AIエージェントの開発費用と期間は、その目的や機能の複雑さによって大きく変動します。 開発費用・期間の目安 PoC(概念実証): 目的を限定し、基本的な機能を持つプロトタイプを開発するフェーズです。 費用: 数百万円〜1,000万円程度 期間: 2〜4ヶ月程度 本格開発: PoCの結果を踏まえ、全社展開などを視野に入れた本格的なシステムを開発するフェーズです。 費用: 1,000万円〜数千万円以上 期間:半年〜1年以上 これはあくまで一般的な目安であり、連携するシステムの数や、求められるセキュリティレベルによって費用や期間は大きく変わります。 見積もり依頼で失敗しないためのポイント 開発会社に正確な見積もりを依頼するためには、以下の点を事前に整理しておくことが重要です。 目的とゴールを明確にする: 「何を解決したいのか」「どのような状態を目指すのか」を具体的に伝えます。 業務要件を整理する: AIエージェントに任せたい業務の範囲や具体的な作業手順を洗い出しておきます。 利用するデータやシステムを明確にする: RAGで参照させたい社内ドキュメントや、APIで連携したい外部システムをリストアップしておきます。 これらの情報が具体的であるほど、開発会社はより精度の高い見積もりと、実現可能な開発プランを提案することができます。 AIエージェント開発ならEQUESにご相談ください AIエージェントの開発は、ビジネスに大きな変革をもたらす可能性を秘めていますが、その成功には高度な専門知識と開発ノウハウが不可欠です。 弊社、株式会社EQUESは、AIを用いた「伴走型技術開発」で、AI導入を目指す多くの企業様をご支援してまいりました。東京大学松尾研究所発のベンチャーとして、特に製薬分野をはじめとする専門領域で高い技術力を発揮しています。 本格開発前に安心を;AI PoCサービス「ココロミ」 いきなり大規模な開発に踏み切るのが不安な企業様向けに、PoC(概念実証)サービスをご提供しています。まずはミニマムな形でAIエージェント開発を試してみたい場合に最適です。 月額10万円からAIの専門家に相談し放題「AIDX寺子屋」 「まずは専門家の意見を聞いてみたい」「社内のAIプロジェクトの壁打ち相手が欲しい」といったニーズにお応えし、東大出身のAI専門家集団がチャットや月1回のミーティングで貴社の課題解決をサポートします。 AIエージェント開発の第一歩をどこから踏み出せば良いかお悩みの際は、ぜひ一度、弊社にお気軽にお問い合わせください。貴社の課題に寄り添い、最適な解決策をご提案します。 お問い合わせはこちら まとめ 今回の記事では、AIエージェント開発の全体像について、その基本から具体的な開発プロセス、費用感までを網羅的に解説しました。 AIエージェントとは、人間の指示に基づき、自律的に思考・行動するAIのこと。 LLM、RAG、API連携といった技術がその中核を担っている。 開発は「企画→設計→開発→テスト→運用」のステップで進められる。 費用や期間は要件によって大きく変動するため、目的の明確化が重要。 AIエージェントは、もはや未来の技術ではなく、ビジネスの現場で具体的な成果を生み出すための現実的な選択肢となっています。この記事が、貴社におけるAI活用の可能性を広げる一助となれば幸いです。 お問い合わせはこちら

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