2025.08.22 【イベント登壇のお知らせ】富山開催イベント「量子コンピュータが変革する創薬と高性能計算の未来」に登壇します
助田 一晟 創業者&取締役 CTO、岸 尚希 創業者&代表取締役 CEO

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最先端の機械学習技術と
実務現場を結ぶ架け橋に

EQUESは、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップとして、
最先端の機械学習技術と実務現場を結ぶ架け橋となることを目指しています。

研究開発の最前線で生まれる技術を、
実際の業務現場で活用可能な形に昇華させ、
社会の発展を加速させることが私たちのミッションです。

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EQUESのサービス

創出力、価値変換力、スピード

EQUESは、高い専門性による創出力を、現場への価値変換力とスピードによって、
シームレスに産業へとつなげることを強みとしています。

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伴走型技術開発

伴走型技術開発

お客様の課題に寄り添い、要件定義から運用まで一気通貫でサポート。最先端のAI技術を活用し、現場に最適化されたソリューションを提供します。

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伴走型技術開発

製薬AI事業

製薬業界における様々な業務課題を、生成AIによる技術開発や業務支援プロダクトによって解決します。

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取引実績

EQUOSは多くの企業とパートナーシップを結んでいます。 ※一部抜粋

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お取引事例

Essencimoが語る、生成AI活用の第一歩と「AI DX寺子屋」導入の実感

Essencimoが語る、生成AI活用の第一歩と「AI DX寺子屋」導入の実感

2025.07.16

■導入企業の紹介 株式会社Essencimoは、2019年4月に設立された、補助金申請支援を主力とする成長企業です。東京・千代田区に本社を構え、約30名の若手中心のチームで運営されています。同社の中心サービス「補助金オフィス」は、年間採択率90%以上という業界屈指の実績を誇り、これまでの累計採択額は15億円以上に達します。ものづくり補助金や事業再構築補助金といった中小企業庁関連の各種補助金申請はもちろん、採択後の報告書作成まで、一貫したサポートを提供しているのが特徴です。経済産業省認定の認定経営革新等支援機関として、数千の全国補助金に対応できる専門性を持ち、一般的な採択率35%を大きく上回る実績で、業界における確固たる信頼を築いています。代表取締役の杉田龍惟氏は東京大学経済学部を卒業後、学生時代から補助金業界に携わり、同社を創業。「社会システムの合理化により、意味のあるシゴトだけに取り組める状態を目指す」という理念を掲げ、表面的な支援に留まらず、企業の根本的な課題解決に注力しています。 ■顕在化した課題 株式会社Essencimoでは、生成AIの本格的な活用に向けて、ある種の壁に直面していました。現場の従業員からは「そもそも生成AIをどう業務に取り入れたらいいのか分からない」という声が聞かれ、AIリテラシーには個人間で大きなばらつきがあるのが実情でした。積極的に使おうとするメンバーがいる一方で、その機能を十分に引き出しきれていないという課題も存在していました。これは、会社全体として生成AIの統一的な活用方針やガイドラインが定まっておらず、個々の取り組みに任されている部分が大きかったためです。結果として、生成AIを導入して業務効率化や新たな価値創造を目指したいものの、具体的な活用方法やその効果をどう測るべきかが不明瞭な状態が続いていたのです。 ■導入の経緯・理由・決め手 このような状況下で、株式会社Essencimoは、生成AIの業務活用を全社的に推進するため、EQUESの**「AI DX寺子屋」**の導入を検討しました。導入の決め手となったのは、まず杉田様からのトップダウンによって、全社的に生成AI活用への意識が高まっていたことでした。この方針を受け、現場の従業員が抱える「何を質問すればいいのか分からない」「どう使っていいか分からない」といった具体的な疑問に対し、テキストベースで個別の相談に応じてもらえる「AIツールコンサル」のような形式が、現状のリテラシーレベルに合わせたサポートとして非常に有効だと判断されました。社内だけではなかなか進まなかったAI活用のノウハウや具体的なアプローチについて、外部の専門家であるEQUESから客観的な知見を得ることで、より効率的かつ効果的に生成AIの導入を進められると期待されたのです。Essencimoでは他に類似のソリューションは検討しておらず、EQUESのサービスが現在の課題解決に最も適していると判断し、導入に踏み切りました。 ■導入後の成果 「AI DX寺子屋」の導入後、株式会社Essencimoの従業員からは具体的な質問がEQUESに寄せられ、それに対しテキストベースで丁寧な回答が提供されました。特に、回答に参考となるURLが添付されていたことは、質問者がさらに深く内容を理解し、自ら調べる上で非常に役立ったと好評でした。 しかし、同時に新たな課題も浮き彫りになりました。それは、Essencimo側の十分なリソースが確保できなかったことや、回答を具体的な業務に落とし込む難しさです。従業員のAIリテラシーに幅があるため、「質問に対する回答を得ても、それを実際にどう業務に活かせばいいか分からない」という声や、「日常的にAIを使っているメンバーでも、現状のAIでできること以上の高度な活用にはまだ至っていない」といった実情も認識されました。一方で、EQUESからの回答が単なる「答え」に留まらず、「なぜその結果になったのか」という技術的な背景や思考プロセスまで丁寧に説明されていた点は高く評価されています。これにより、従業員はAIの特性や限界、そして応用可能性について、より深く考察するきっかけを得ることができました。 ■社内での声 今回の「AI DX寺子屋」の導入について、株式会社Essencimoの従業員からは様々な声が聞かれました。 「AIリテラシーにばらつきがある中で、何を質問すればいいか分からない人にも具体的なヒントが提供され、AI活用のハードルが下がったと感じています。普段からChatGPTを使っている従業員にとっても、より高度な質問や活用方法を模索する良いきっかけになりました。ただ、1ヶ月という期間では、期待するレベルに到達するにはもう少し時間が必要だと感じたのも正直なところです。EQUESからの回答は具体的で、参考リンクの提供があったのも非常に良かったです。自分たちでさらに深掘りして調べる手がかりになりました。また、業務が属人的な部分が多い中、今回の相談サービスを通して、現状の業務でAIが活用できそうな領域を再認識できたのは大きな収穫でした。」 ■今後の展望 株式会社Essencimoでは、今回の「AI DX寺子屋」の活用経験を踏まえ、今後の生成AI活用に関して具体的な展望を抱いています。まず、現状個人に委ねられている生成AIの活用について、会社全体として「どのように活用していきたいのか」という明確な方針を定めることを最優先課題と捉えています。これにより、従業員間のAIリテラシーのばらつきを是正し、全社的なAI活用を推進する強固な土台を築いていく考えです。 次に、ExcelやWord、PowerPointなど、現行業務で頻繁に使用するツールへの生成AIの活用をさらに深化させ、質の高い業務を維持しつつ、一層の効率化を図っていきます。特に、補助金申請書類の作成といった属人的な業務において、現状のAIではまだ代替が難しい部分についても、将来的なAIの進化を見据えつつ、可能な範囲での活用を模索していく計画です。 さらに、補助金情報の収集が情報源ごとに散在しているという課題に対し、自動化の可能性も検討していきます。現時点では人力での収集が中心ですが、将来的には規則性のない情報収集においてもAIを活用できるよう、EQUESのような外部パートナーとの連携も視野に入れています。そして、社内でAI活用を推進するキーパーソンを育成し、「AI DX寺子屋」で得た知見を社内に展開していくことで、さらなるAIリテラシーの向上と、具体的な業務への落とし込みを加速させていく方針です。 株式会社Essencimoは、生成AIの活用を通じて、より効率的で質の高い補助金申請サポートを提供し、顧客企業の成長に貢献していくことを目指しています。

東北電力が語る、AIリテラシー向上を目的とした1Day研修導入とその手応え

東北電力が語る、AIリテラシー向上を目的とした1Day研修導入とその手応え

2025.07.14

■導入会社の紹介 東北電力事業創出部門では、東北・新潟地域におけるスマート社会の実現を目指し、新規事業開発を推進しています。その中で、AI関連サービスとして、GPUクラウドサービスや東北・新潟におけるお客さまへのAIの導入支援を行っています。 ■顕在化した課題 事業創出部門としてAI関連サービスを提供している中で、部門メンバー自身がAIを使いこなす能力をさらに高める必要性を感じていました。特に生成AIの分野においては、基本的な知識から実践的なプロンプトの書き方、そして新規事業開発に活かせる具体的な活用方法まで、体系的な学習機会が求められていました。 ■導入した経緯,理由,決めて EQUES様との出会いは、GPUクラウドサービスの紹介を通じてでした。その後、様々なテーマで協業検討を進める中で、まずは事業創出部門としてAIを使いこなせるようになりたいという思いが明確になり、EQUES様とご相談の上で1Day研修を実施することになりました。 ■導入後の成果 先日実施したEQUES様による1Day研修は、生成AIの基本的な内容に加え、プロンプトの書き方、新規事業開発に活きる生成AIの使い方といった実践的な内容でした。受講者からの評価は非常に高く、研修後には各自が生成AIを活用した業務効率化を進める結果となりました。 ■社内での声 研修の受講者からは、内容が非常に実践的で分かりやすかったとの声が多く聞かれました。各自の業務に直結する生成AIの活用方法を習得できたことで、日々の業務効率化に大きく貢献していると実感しています。部門全体としてAIリテラシーが向上したことを喜んでいます。 ■今後の展望 現在、EQUES様とは、事業創出部門専用のAIモデルの研究やパーソナルLLM構想など、多岐にわたるテーマで協業を検討しています。引き続き、EQUES様と密接に連携し、東北発のスマート社会実現に向けた新たな価値創出を目指していきます。

三菱電機グループ RYODENが語る、生成AI導入の決め手とその成果

三菱電機グループ RYODENが語る、生成AI導入の決め手とその成果

2025.06.30

■導入会社の紹介 株式会社RYODENは、三菱電機グループに属する総合技術商社であり、長年にわたり日本の製造業を支える重要な役割を担ってきました。同社は、基幹事業であるFAシステム、冷熱ビルシステム、エレクトロニクスの技術を基に、スマートアグリや医療ITなど、多岐にわたる分野をカバーしており、製造現場の高度化や省エネ·環境対策の推進に貢献しています。単なる商社にとどまらず、技術提案力やシステムインテグレーション(SI)力に強みを持ち、顧客ごとの課題解決に寄り添う伴走型の提案活動を展開しています。近年では、DX(デジタルトランスフォー メーション)やサステナビリティへの対応にも注力しており、国内外の拠点を活用しながらグローバル規模でのソリューション展開を進めています。2025年3月末時点での従業員数は1,451名、売上は2,157億円に達し、成長を続ける企業です。 ■顕在化した課題 同社の戦略技術センターでは、製造業向けにさまざまな先端ソリューションを提供してきましたが、近年注目されている生成AIに関しては十分な知見がなく、学術的なアプローチが課題となっていました。これまでにAIや機械学習技術を用いたPoC(概念実証)や業務適用は経験があったものの、生成AIについては学術的な検証を行った実績がなく、どうアプローチすべきか、研究の進め方自体に戸惑いがありました。また、製造業向けのソリューション開発においては、社内で保持している技術シーズや独自ノウハウに基づく提案を行っていましたが、それに"生成AI"という新たな付加価値を加えたいというニーズが強まっていました。そのため、技術的な裏付けを持ちつつ、学術的視点から協業できる適切なパートナーを社外に求めていたのです。 ■導入の経緯・理由・決め手 そのような状況下で、同社の戦略技術センターではEQUESとの協業を検討しました。決め手となったのは、EQUESが単なる受託開発ベンダーではなく、学術的な素養を持つ研究者出身のメンバーが在籍していたことです。特にCTOの助田氏は、大学との共同研究や査読付き論文の執筆実績を持ち、学術と実装の両面において強い信頼を置ける存在でした。学術的なアプローチが求められる領域において、その専門性と柔軟性は大きな魅力となり、「ここなら信頼して任せられる」と確信を持って協業をスタートさせました。また、プロジェクトは月額数十万円というスモールスタートから始められ、コスト面でも導入のハードルが低かったことも意思決定の後押しになりました。 ■導入後の成果 プロジェクト開始後、月に1回の定例報告会を開催し、EQUESから進捗や技術的な説明が行われました。その中で特に印象的だったのは、単なる「結果報告」ではなく、課題に対してどのように技術的にアプローチし、どのような前提でその結果が導かれたのかを丁寧に説明してくれた点です。 報告の質が高く、技術的な裏付けを持った説明があったことで、RYODENの技術陣としても深い納得感と安心感を得られました。 ■サービス導入後での声 また、EQUESのサービススタイルも高く評価されました。従来の業務委託型とは異なり、"AI×DX寺子屋"という形で、社内メンバーとEQUESの技術者が密にコミュニケーションを取りながら進める形式が取られました。これにより、社内の技術者が直接EQUESのメンバーと対話できる環境が整い、知識の定着や理解の深まりにもつながりました。技術者同士の会話だけでなく、チームとして複数名でコミュニケーションが取れる体制だったことも、プロジェクトのスムーズな進行に貢献したと考えています。 ■今後の展望 今後は、戦略技術センターとして製造業向けの生成AIソリューションをさらに拡充していく方針です。生成AIの応用範囲は年々広がっており、社内外のデータを活用した提案書作成、画像生成を用いた設計支援、対話型の業務ナビゲーションなど、可能性は無限にあります。EQUESとの協業で得た知見やノウハウを活かし、「AI×DX寺子屋」という共創型の取り組みを通して、さらに価値ある提案を市場に届けていきたいと考えています。

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メンバー

  • 岸 尚希 創業者&​代表取締役 CEO

    東京大学大学院.ex 松尾研プロジェクトマネジャー.
    松尾研起業クエスト1期生.
    松尾研チーフAIエンジニアとして企業との共同研究に従事.その後,現実世界と情報学の融合を志し,計数工学科在学時にEQUESを創業.専門はシステム情報学,特にテラヘルツ波通信とハプティクス(触覚技術).

  • 助田 一晟 創業者&取締役 CTO

    東京大学大学院. ex 松尾研プロジェクトマネジャー
    松尾研起業クエスト2期生.産総研「覚醒」事業採択.
    AIビジネスコンテスト全国優勝後,計数工学科で現CEO岸と出会いEQUESを創業.
    専門は数理情報学であり,クラスタリング最適化や医療AI分野の研究でトップジャーナルや国際会議に採択されている.

松尾 豊

Advisor

アドバイザー

松尾 豊

技術顧問

2007年より,東京大学大学院工学系研究科准教授. 2019年より教授. 専門分野は,人工知能,深層学習,ウェブマイニング. 人工知能学会からは論文賞(2002年),創立20周年記念事業賞(2006年),現場イノベーション賞(2011年),功労賞(2013年)の各賞を受賞. 2020-2022年,人工知能学会,情報処理学会理事. 2017年より日本ディープラーニング協会理事長. 2019年よりソフトバンクグループ社外取締役. 2021年より新しい資本主義実現会議 有識者構成員. 2023年よりAI戦略会議座長.

Column

コラム

AIによる製薬業界のDX化推進

製薬業界のDX推進ガイド|課題解決の具体策と成功事例を解説

2025.09.04

「製薬業界もDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要だと言われるが、何から手をつければ良いのかわからない…」  「GMPのような厳しい規制や品質保証の観点から、新しい技術の導入にはどうしても慎重になってしまう…」 製薬会社の品質保証や製造部門で実務に携わる中で、このような悩みを感じている方も少なくないのではないでしょうか。 この記事では、昨今の製薬業界が抱える課題を踏まえながら、DX化が求められる背景から、具体的な推進領域、そしてDXを阻む壁について分かりやすく解説します。さらに、AIツールの活用や専門家による伴走型支援といった、明日から検討できる具体的な解決策もご紹介します。 この記事を読み終える頃には、自社の状況に合わせたDXの進め方が明確になり、未来に向けた確かな一歩を踏み出すためのヒントを得ていただけると嬉しいです。 製薬DXについてお問い合わせはこちら 製薬業界でDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる理由 なぜ今、製薬業界でこれほどまでにDXが重要視されているのでしょうか。その背景には、業界全体が直面する構造的な課題があります。 新薬開発の難易度上昇とコスト高騰 一つの新薬を市場に送り出すまでには、10年以上の歳月と数百億円以上の莫大なコストがかかると言われています(情報元:医薬品産業の現状 - 厚生労働省 )。近年、新薬開発のターゲットとなる疾患はより複雑化しており、研究開発の成功確率は低下傾向にあります。この状況を打破し、革新的な医薬品を効率的に創出するために、AIなどの技術を活用した創薬プロセスの効率化が急務となっています。 「2025年の崖」とレガシーシステムの課題 (経済産業省「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」を元に画像作成) 経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」は、製薬業界も例外ではありません。多くの企業では、長年にわたって使用されてきた基幹システムが複雑化・老朽化し、部門間のデータ連携を妨げる「サイロ化」を引き起こしています。このレガシーシステムがDX推進の足かせとなり、新しいビジネスモデルへの変革を阻んでいるのです。  GxP省令など法規制への厳格な対応 製薬業界は、医薬品の品質と安全性を保証するため、GMP(Good Manufacturing Practice)をはじめとするGxP省令という厳格な規制下にあります。これらの規制を遵守しながら、製造記録や品質保証に関する膨大な文書を作成・管理する必要があり、DXによる業務プロセスの効率化とヒューマンエラーの削減が強く求められています。GMPについて詳しく書いた記事がございますので、詳しくはこちらをご覧ください。 製薬会社のDXにおける主要な5つの領域 製薬会社のDXは、特定の部門だけでなく、バリューチェーン全体にわたって推進されています。ここでは主要な5つの領域をご紹介します。 創薬・研究開発: AIを活用して膨大な論文や化合物データを解析し、新薬候補物質を効率的に探索する「AI創薬」が注目されています。 臨床開発: ウェアラブルデバイスなどを活用して患者データを収集する分散型臨床試験(DCT)、通称「バーチャル治験」により、開発期間の短縮やコスト削減が期待されています。 製造・品質保証: 工場のセンサーから得られるデータをAIで解析し、設備の故障を予知する「予知保全」や、GMP関連文書の作成を自動化する取り組みが進んでいます。 営業・マーケティング (MA): 医療従事者とのコミュニケーションをオンラインにシフトさせ、個々のニーズに合わせた情報提供を行うデジタルマーケティングの重要性が増しています。 サプライチェーン・マネジメント (SCM): 需要予測の精度を高め、医薬品の安定供給と在庫の最適化を実現するために、データ活用が進められています。 なぜ進まない?製薬業界のDXを阻む3つの課題 多くの企業がDXの重要性を認識している一方で、その推進は容易ではありません。特に製薬業界には特有の課題が存在します。 課題1:厳格な法規制と品質保証の壁  医薬品の品質と患者の安全が最優先されるため、新しいデジタル技術を導入する際には、システムの信頼性を保証するための厳格な検証(コンピュータ化システムバリデーション:CSV)が不可欠です。このプロセスに時間とコストがかかることが、DX推進のハードルとなっています。 課題2:DXを推進できる専門人材の不足 製薬の専門知識とデジタル技術の両方に精通した人材は非常に希少です。多くの企業でDX推進の旗振り役を担える人材が不足しており、何から手をつけて良いか分からない、という状況に陥りがちです。 課題3:費用対効果の判断が難しい  DXへの投資は、必ずしも短期的な利益に直結するとは限りません。特に研究開発や人材育成といった領域では、投資対効果(ROI)を明確に算出することが難しく、経営層の理解を得にくいケースがあります。 【課題解決】製薬業界のDXを加速させる2つのアプローチ これらの根深い課題を乗り越え、DXを成功に導くためには、どのような解決策があるのでしょうか。弊社、株式会社EQUESが提供するサービスを交えながら、2つの具体的なアプローチをご紹介します。 解決策①:AIツールで定型業務を効率化する まず考えられるのは、スモールスタートが可能なSaaSツール(インターネット経由でソフトウェアをクラウドサービスとして利用できる仕組み)の導入です。特に、品質保証(QA)部門におけるGMP文書の作成・管理は、多くの企業で膨大な時間を要しており、DXによる効率化の効果が出やすい領域です。 弊社の提供する「製薬SaaS QAI Generator」は、まさにこの課題を解決するために開発されました。 簡単な質問に答えるだけで、AIが逸脱管理や変更管理に必要なGMP文書を自動で作成します。 導入企業では、文章の作成時間の5割カット、レビュー時間の7割以上の短縮といった具体的な成果も出ています。 このように、日々の定型業務からAIツールを導入することで、現場の負担を軽減し、DXの成功体験を積むことができます。 お問い合わせはこちら 解決策②:専門家と進める「伴走型」のAI導入で人材を育成する 「ツールを導入しても、使いこなせる人材がいない」という課題には、外部の専門家と協力してプロジェクトを進める「伴走型」のアプローチが有効です。 弊社は、AIを用いた「伴走型技術開発」を強みとしており、お客様の課題に寄り添いながらDX推進をサポートします。 例えば、弊社サービスの「AIDX寺子屋」は、東京大学出身のAI専門家集団がチャットでAI・DXに関するあらゆる困りごとを解決するサービスです。  月額10万円からのプランでは相談し放題で、気軽に専門家の知見を活用しながら、社内のAI人材を育成していくことが可能です。 また、本格的な開発に着手する前に実現可能性を検証したい、という場合には、PoC(概念実証)サービス「ココロミ」もご用意しています。 専門家チームと共にスモールスタートを切ることで、リスクを抑えながら着実にDXを推進できます。 お問い合わせはこちら 参考になる!製薬会社のDX成功事例 実際にDXに取り組み、成果を上げている企業の事例を見てみましょう。 中外製薬株式会社:DXを経営の最重要課題と位置づけ、「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を策定。AI創薬の人材・システム基盤の構築や、デジタル技術を活用したバイオマーカーの探索、製造工程の最適化など、バリューチェーン全体でDXを強力に推進しています。 (参照: 中外製薬株式会社「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」) アステラス製薬株式会社:DXを重要な推進力と位置付け、研究、開発、製造、販売、マーケティング、コーポレート機能における総合的なDXの開発を推進しており、最先端の医療価値の産出に向けて取り組んでいます。(参照:デジタルトランスフォーメーション(DX) | アステラス製薬) 武田製薬株式会社:医薬品の品質と安定供給の強化に着目し、製造工程におけるトラブルを未然に防ぐ異常検知モデルの開発、収量の改善を目指した予測モデルの開発、在庫最適化プログラムの運用など、様々な技術開発に取り組んでいます。(参照:Factory of the Futureの実現に向けた製造DXについて) このように、現在、製薬業界全体として、DX推進の機運が高まっていることが分かります。 製薬業界のDXに関するよくある質問(FAQ) Q. DX化にはどれくらいの費用がかかりますか? A. 目的や規模によって大きく異なります。全社的な基幹システムの刷新となれば大規模な投資が必要ですが、まずは課題を特定し、小さな領域から始めることが成功の鍵です。例えば、弊社の「QAI Generator」のようなSaaSツールや、「AIDX寺子屋」(月額10万円〜)のような少額のサービスを活用すれば、初期投資を抑えながらDXの第一歩を踏み出すことが可能です。 Q. 専門知識がなくてもDXは進められますか? A. はい、可能です。DX推進において最も重要なのは、現場の課題を深く理解していることです。技術的な知見については、弊社の「伴走型技術開発」のように、外部の専門家の力を借りることで補うことができます。 弊社には製薬分野に強い専門家が多数在籍しておりますので、業界特有の課題についても安心してお任せください。 まとめ 今回の記事では、製薬業界におけるDXの重要性から、具体的な推進領域、そして成功を阻む課題と解決策について解説しました。 製薬業界のDXが求められる理由: 新薬開発の難化、2025年の崖、厳格な法規制への対応が背景にあります。 DXの主要領域: 創薬から製造、営業までバリューチェーン全体に及びます。 DXを阻む課題: 厳しい規制、専門人材の不足、費用対効果の判断の難しさが挙げられます。 有効な解決策: AIツールによる業務効率化と、専門家と協働する「伴走型」の導入・人材育成が鍵を握ります。 製薬業界のDXは、一足飛びに進むものではありません。しかし、目の前にある定型業務の効率化や、専門家のサポートを得ながら小さな成功を積み重ねていくことで、着実に変革を推進することは可能です。 弊社、株式会社EQUESは、東京大学松尾研究所発のベンチャーとして、製薬分野に特に強みを持ち、「ツール(QAI Generator)」と「伴走支援(AIDX寺子屋)」の両面から、貴社のDX化を力強くサポートします。 DXの進め方にお悩みでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。 お問い合わせはこちら

AIがヘルスケア分野において業務改善し、体とメンタルケアのケアに役立つことを示す画像

AI×ヘルスケアの未来|医療・介護現場の課題を解決する活用事例

2025.09.04

「利用者様や患者様一人ひとりと向き合いたいのに、いつも時間がない…」 「ミスしちゃいけないのに、人手不足で常に慌ただしい…」 医療や介護の現場で、こんな悩みを抱えていらっしゃる方は少なくないのではないでしょうか。現代の少子高齢化社会では、このような問題が起きてしまうのは必然であり、働き手の力のみで解決することは年々難しくなる一方です。持続可能な医療・介護サービスを提供するためには、テクノロジーを使った根本的な改革を行う必要があります。 そこで、現在、AI(人工知能)をヘルスケア分野に導入する試みが、全世界で注目を浴びています。皆さんもAIについての話題を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。 この記事では、AIがヘルスケアにどのような影響を与えるのかや、医療・介護現場で実際に使われている事例、導入を成功させるための選定ポイントまで、AI開発の専門家が徹底的に解説します!この記事を通して、AI導入のもたらす可能性を具体的にイメージしていただけると幸いです。 AIについてお問い合わせはこちら AI×ヘルスケアが今、注目を集める理由 なぜ今、これほどまでにAIのヘルスケア分野への参入が注目されているのでしょうか。その背景には、現代の日本が抱える社会的な課題と医療現場特有の課題、そしてAIのテクノロジーが急速に進化したことが深く関わっています。 深刻化する「2025年・2040年問題」と医療・介護の需要増大 (参照元:人口推計 - 総務省統計局、我が国の人口について - 厚生労働省) 日本は、世界でも類を見ないスピードで高齢化が進行しています。2025年現在、人口を占める高齢者の割合は約30%と、国際的に見てもかなりの超高齢化社会であり、現役世代が急減し、高齢者人口がピークを迎える「2040年問題」は、今後医療・介護現場の疲弊をさらに加速させてしまうことを示唆しています。 少ない担い手で、増え続ける高齢者を支えなければならない。この需要と供給のギャップを埋めるためには、新たなテクノロジーを用いた抜本的な対策が求められています。 「サービスの質」と「サービスの持続可能性」の両立という課題 患者に質の高いサービスを提供し続けることは、医療・介護現場の至上命題です。しかし、前述のような人手不足による業務負担の増大は、ヒューマンエラーのリスクを高め、サービスの質の低下を招きかねません。質の高い医療を、将来にわたって安定的に提供し続ける「持続可能性」をいかに確保するか。AIによる業務効率化は、この大きな課題に対する有効な解決策として期待されています。 さらに、AIがベテランの知識や技術を学習・再現することで、経験の浅いスタッフでも質の高いサービスを提供できるようになり、施設全体でのサービスレベルを底上げすることも可能になります。 AI技術の飛躍的な進化と普及 ディープラーニング(深層学習)に代表されるAI技術が飛躍的に進化したことで、かつては人間でなければ不可能と考えられていた高度な判断や分析を、AIに任せることが可能になりました。特に、画像認識や自然言語(私たちが普段使用する言葉)処理の精度は著しく向上し、医療画像の解析や膨大な論文データの読解など、ヘルスケア領域との親和性が非常に高い技術が次々と生まれています。 これらの技術が、比較的安価で利用できるようになったことも、AI導入を後押しする大きな要因です。 AIが活躍するヘルスケアの代表領域 AI導入と一言でいっても、その内容や活用方法は多岐にわたります。ヘルスケア領域においてAIは、人の業務を代替・支援するだけでなく、医療や介護のニーズを抑える、つまりは健康な人を増やすための仕組みづくりにも深く貢献しています。AIが活躍する領域について、詳しく見ていきましょう。 AIで業務量を減らす AIは、定型的な事務作業を効率的に処理する能力や、大量のデータを読み込んで、それをもとに状況に合った提案をする能力に長けています。以下は、そのようなAIの能力を活かしてシステムを作り、医療者や介護者の業務量を減らした導入例になります。 事務資料作成システム:レセプト(診療報酬明細書)作成、会議資料など、多岐にわたる資料をAIが自動生成することで、煩雑な事務作業から解放されます。 需要予測に基づくシフト・スケジュール作成: 来院患者数や入居者の介護需要をAIが予測し、最適な人員配置やシフトを自動で作成します。 AI音声認識によるカルテ入力:医師や看護師が話した内容をAIがリアルタイムでテキスト化し、カルテを自動作成することができます。 介護計画(ケアプラン)の作成支援AI:利用者の心身の状態や希望といったデータを基に、AIが最適なケアプランの候補を提案します。 介護施設のAI見守りシステム:居室に設置したセンサーで入居者の離床や転倒を検知し、スタッフに通知することで、事故防止と夜間巡回の負担軽減を両立します。 受付や問診などの代行:AIを活用した自動応答システムや問診システムを導入することで、受付スタッフの業務を効率化し、患者の待ち時間短縮にもつながります。 このように、AIは様々な業務の効率化を実現しています。弊社、株式会社EQUESの伴走型技術開発サービスは、東京大学松尾研究室発のスタートアップとして各分野の専門人材を配置し、AIを利用した様々な技術開発を推進しているため、このような業務効率化を検討する際にはうってつけのサービスとなっています。開発だけでなく、現場の課題や環境を深く理解した上で最適な運用プロセスを設計し、さらには、定期的なフィードバックを基に改善を重ね、文字通り「伴走型」の支援をいたします。 医療におけるAI導入についてより詳細にまとめた記事もございますので、もっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。 AIで健康を促進し、医療・介護のニーズを抑える 健康な人を増やし医療・介護のニーズを抑えるためには、何ができるでしょうか。人手不足や社会保険料の国家予算逼迫などの問題を考える際、予防医学の視点が多方面から注目されています。 (「早期診断と予防医学に対する臨床検査の役割」中原一彦 を参考に図を作成) 健康な人口を増やすためには、病気や老化を日頃から予防すること(一次予防)、病気を早期発見し、見つけた病変を素早く適切に治療すること(二次予防)、そして病気の悪化を防ぎ、再発を防止すること(三次予防)が欠かせません。 AIは、さまざまな分野を通してこのシステム作りを後押ししています。このようなテクノロジーの具体例を、いくつか見てみましょう。 ・ヘルストラッカー スマートウォッチやアプリを通して利用者や患者の日頃の体調のデータを集め、それらを元に病気の予測や日々の健康管理を行います。またそのデータを医療者・介護者とも共有し、患者や利用者がどんな病気にかかりやすいかや、日頃の生活をどのように改善すればよいか、すぐに分かるシステムを構築することができます。 ・メンタルケア 近年、「AI メンタルケア」というキーワードへの関心も高まっています。AIチャットボットがカウンセラーのように対話を行い、利用者の悩みを聞いたり、認知行動療法に基づいたセルフケアを促したりするサービスが登場しています。心理的なサポートを24時間365日提供できるため、メンタルヘルスの初期対応や、対面カウンセリングへの抵抗感を和らげる効果が期待されます。 ・服薬管理 適切な治療をするにあたって、薬を適切に飲んでもらうことは欠かせません。しかし、大切な薬を飲み忘れてしまうことは、特に高齢者の方にとってはよくあることです。AIで食べ合わせや飲み合わせ、副作用の注意など、服薬に関するあらゆるデータを提供すると共に、飲み忘れた日の記録や、飲む際のリマインダーのセットをして、患者さんの適切な服薬管理を実現します。 ・創薬の研究 新薬の開発には、莫大な時間とコストがかかります。AIは、膨大な数の論文や治験データ、化合物情報を解析し、新薬の候補となる物質を短時間で探索したり、治験プロセスを効率化したりすることに貢献します。これにより、開発期間の短縮とコスト削減が期待されています。特に製薬分野では、品質保証に関する文書作成業務も大きな負担ですが、弊社サービス『QAI Generator』のように、AIでこのような文書の作成を自動化し、業務時間を大幅に削減するサービスも登場しています。 ・個別化医療 個人のゲノム(全遺伝情報)を解析し、その人に合った最適な治療法や予防法を提供するのがゲノム医療です。AIは、膨大で複雑なゲノム情報を解析し、特定の疾患リスクや薬の効果を予測することで、患者一人ひとりに合わせた「個別化医療(プレシジョン・メディシン)」の実現を加速させます。 AIを導入する際の注意すべきリスク AI導入は多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのリスクや課題も存在します。双方を正しく理解し、備えることが重要です。 1.導入・運用コスト  高機能なAIシステムの導入には、初期費用や月額利用料といったコストがかかります。どの業務をどれだけ効率化でき、コスト削減や収益向上につながるのか、費用対効果を慎重に見極める必要があります。 2.情報セキュリティとプライバシー 患者や利用者の機微な個人情報を取り扱うため、サイバー攻撃や情報漏洩に対する万全のセキュリティ対策が不可欠です。 3.AIの判断プロセスにおけるブラックボックス問題  なぜAIがその結論に至ったのか、判断の根拠や過程を理解できない場合があります。また、 AIが関与した医療事故の責任の所在など、法整備がまだ追いついていない領域も存在します。最終的な判断は人間が責任を持つという意識を持ち、あらかじめ最終責任の所在を決定しておくことが重要です。 自院・自社に最適なAIサービスを選ぶための3つのポイント 数あるAIヘルスケアサービスの中から、自院・自社に本当に合ったものを選ぶためにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、選定時に必ず押さえておきたい3つのポイントを解説します。 1. 解決したい課題を明確にする 最も重要なのは、「AIを使って、誰の、どんな課題を解決したいのか」を具体的にすることです。「スタッフの残業時間を減らしたい」「診断の見落としを防ぎたい」「入居者の転倒事故を減らしたい」など、目的を明確にすることで、必要な機能やサービスの種類が見えてきます。 2. 既存システムとの連携性を確認する 導入したいAIサービスが、現在使用している電子カルテや介護記録ソフトといった既存のシステムとスムーズに連携できるかは非常に重要です。連携できない場合、二重入力の手間が発生するなど、かえって業務が非効率になる可能性もあります。 3. サポート体制の充実度を見極める AIは導入して終わりではありません。運用していく中で発生する疑問やトラブルに、ベンダーが迅速かつ丁寧に対応してくれるか、サポート体制の充実度は必ず確認しましょう。特にAIのような専門性の高い分野では、「AIに関する困りごとを専門家集団にチャットで気軽に相談できる」といった、弊社の「AIDX寺子屋」のような伴走型のサポートがあると安心です。 お問い合わせはこちら まとめ 今回は、AIヘルスケアの現状と未来について、具体的な活用事例から導入のポイントまでを解説しました。 AIヘルスケアの重要性: 少子高齢化が進む日本において、医療・介護現場の負担を軽減し、サービスの質を維持・向上させるための鍵となります。 主な活用領域: 「画像診断」「創薬」「個別化医療」「メンタルケア」「業務効率化」など、多岐にわたる分野で活用が進んでいます。 導入の要点: メリットとリスクを正しく理解し、「課題の明確化」「システム連携」「サポート体制」の3つのポイントを押さえて選定することが成功につながります。 AIの導入は、専門的な知識が求められる難しい判断も伴います。しかし、信頼できるパートナーと共に進めば、そのハードルは決して高くはありません。AIを効果的に活用し、スタッフの負担を減らしながら、より質の高い医療・介護を実現することは、もはや夢物語ではないのです。 弊社EQUESは、東京大学松尾研究所発のスタートアップ企業として、AIを用いた「伴走型技術開発」を駆使し、多くの企業様をサポートしてまいりました。 AI導入に関するお悩みや、「何から始めれば良いか分からない」といったご相談でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせいただき、皆様の施設が目指す未来について、ぜひお聞かせください。 お問い合わせはこちら

製薬における医薬品GMP導入を促す記事であることを示す、治療薬とGMPという文字のイメージ

医薬品GMPとは?製薬現場の課題をAIで解決する治療薬品質の新常識

2025.09.01

「医薬品のGMPに対応する膨大な文書作成や管理に追われて大変…」 「複雑な管理基準や、いつ来るか分からない監査がプレッシャー…」 製薬の品質保証や製造の現場で、このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。高い品質が求められる治療薬だからこそ、GMP遵守は不可欠ですが、その業務負担は決して軽くありません。 この記事では、医薬品製造における品質管理の基準である「GMP」の基本から、多くの現場が直面する具体的な課題、そしてAIのような先進技術を活用してそれらの課題を解決する方法まで、分かりやすく解説していきます。この記事を読み終える頃には、貴社のGMP業務を効率化し、品質保証のレベルを一段階引き上げるための具体的な道筋が見えていると嬉しいです。 ※この記事の執筆者である弊社(株式会社EQUES)は、東京大学松尾研究所発のベンチャーとして、AIを用いた「伴走型技術開発」で多くの企業の課題解決をサポートしており、特に製薬分野に強みを持っています。製薬分野のAI導入にご興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。 お問い合わせはこちら 医薬品GMPとは?高品質な治療薬を支える製造管理の基本 医薬品GMPとは、Good Manufacturing Practiceの略で、「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」を意味します。患者さんが安心して医薬品を使用できるよう、製造所における製造管理や品質管理の方法について、国際的に定められた基準です。 医薬品GMPの三原則は以下の通りです。 人為的な誤りを最小限にすること 医薬品の汚染及び品質低下を防止すること 高い品質を保証するシステムを設計すること 医薬品は、医療において人の生命に関わる重要な役割を担っています。万が一、不純物が混入したり、有効成分の量が違っていたりすれば、治療効果が得られないばかりか、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。 GMPは原材料の受け入れから製品の出荷に至るまでの全工程において、人為的な誤りを最小限に食い止め、汚染や品質低下を防ぎ、一定の品質を保つための仕組みを緻密に定めています。GMPは品質保証の中核であり、この基準を守ることで、のちの有効性や安全性の確保にも繋げることができます。 知っておくべき法律「GMP省令」とその重要ポイント 日本において、医薬品GMPの具体的な内容は、厚生労働省が定める「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」、通称「GMP省令」によって法的に定められています。 このGMP省令は、国際的な基準との調和を図るため、定期的に改正が行われています。近年の重要なポイントとしては、以下のような点が挙げられます。 PIC/S GMPとの整合性: 医薬品査察協同スキーム(PIC/S)が定める国際的なGMPガイドラインとの整合性が図られており、グローバルなレベルでの品質保証が求められています。 データインテグリティの重視: 記録されたデータが、生成から廃棄に至るまでの全過程において完全で、一貫性があり、正確であることが強く求められています。意図的か否かにかかわらず、データの改ざんや消失を防ぐために、製薬会社全体としての管理体制の構築が不可欠です。 これらの要件に対応するため、製造や品質管理の現場では、より厳格で効率的な業務プロセスの構築が急務となっています。 多くの製薬現場が直面する、医薬品GMP遵守における3つの壁 GMPを遵守し、高品質な医薬品を安定供給することは製薬企業の使命ですが、その道のりにはいくつかの「壁」が存在します。ここでは、多くの現場が抱える共通の課題を3つご紹介します。 課題①:膨大すぎる文書作成と管理 GMP業務において、文書は非常に重要な役割を担います。製造手順書や品質管理記録書、変更管理記録、逸脱報告書など、作成・保管すべき文書は多岐にわたり、その量は膨大です。 従来のExcelや紙媒体での管理では、以下のような問題が生じやすくなります。 属人化: 特定の担当者しかファイルのありかや更新履歴を把握できず、業務が滞る。 非効率な検索: 過去の記録や類似事例を探すのに時間がかかる。 版管理の煩雑さ: どれが最新版の文書か分からなくなり、古い手順書を使ってしまうリスクがある。 整合性の担保: 関連する文書間の整合性を手作業で確認するため、ミスが発生しやすい。 このような状況は、業務効率の低下を招くだけでなく、品質保証上のリスクにも繋がりかねません。 課題②:複雑化する逸脱管理とCAPA 製造工程において、定められた手順や基準から外れる事象(逸脱)が発生した場合、その原因を徹底的に調査し、再発防止策を講じる必要があります。この一連のプロセスがCAPA(Corrective Action and Preventive Action:是正措置・予防措置)です。 逸脱管理とCAPAは、品質システムの中核をなす重要なプロセスですが、その運用は容易ではありません。原因究明には製造、品質管理、品質保証など複数の部署間での緊密な連携が求められます。また、調査の過程や根本原因、講じた措置などをすべて正確に文書化し、その有効性を継続的に評価する必要があり、非常に複雑で手間のかかる業務です。 課題③:査察対応のプレッシャー 製薬企業は、規制当局(日本では主にPMDAや都道府県)による定期的なGMP査察を受けなければなりません。査察では、GMP省令が適切に遵守されているか、あらゆる記録を基に厳しくチェックされます。 査察官からの質問に対し、関連文書を迅速かつ正確に提示できなければ、不備を指摘される可能性があります。そのため、現場の担当者は「いつ査察が来ても良いように」常に準備を整えておく必要があり、これが大きな精神的プレッシャーとなります。また、査察の際には、膨大な文書の中から要求されたものを探し出すのに多大な工数がかかることも少なくありません。 AI/DXが解決!これからの医薬品GMP業務と治療薬の未来 これまで見てきたようなGMP業務における課題は、AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)といった先進技術を活用することで、大きく改善できる可能性があります。ここでは、具体的な解決策を3つの視点からご紹介します。 解決策①:AIによる「文書作成・レビュー」の自動化・効率化 膨大な文書業務の負担を軽減する切り札として、生成AIの活用が期待されています。例えば、逸脱報告書や変更管理記録など、定型的ながらも正確性が求められる文書作成をAIがサポートします。 弊社の提供する製薬品質保証のGMP文書業務効率化SaaS「QAI Generator」は、まさにこの課題を解決するためのサービスです。 簡単な質問に答えるだけで、AIが必要な書類を自動で作成します。実際に、文章の作成時間を5割カットし、レビュー時間も7割以上短縮した実績もあります。これにより、担当者はより専門的な判断や分析業務に集中できるようになります。 QAI Generatorの詳細はこちら 解決策②:GMP関連情報を簡単に検索できる「GMPナビゲーター」 GMP文書を作成するにあたって、信頼できるソースを提示することは必要不可欠です。そのため、従来のシステムでは、文献調査や専門部署への問い合わせが大量に発生し、業務の妨げになることがしばしば発生していました。大成建設が独自開発したGMP関連情報を一括で検索できるシステム「GMPナビゲーター」は、RAGシステム(※)を使用して、これまでに蓄積された文献や質疑応答などのノウハウのデータと、最新の法規・ガイドラインのデータを合わせてAIに参照させることで、利用者の質問に対して必要十分な情報のみをチャット形式で正確に回答することを可能にしました。これにより、書類作成業務を大幅に効率化させることに成功しました。 ※RAGシステム…AIが、外部の知識ベースから関連情報を取得し、その情報を元に回答を生成する技術のこと。 参照元:大成建設HP「生成AIを用いた医薬品の製造・品質管理基準検索システム「GMPナビゲーター」を開発」 解決策③:QMSシステム導入による「逸脱・CAPA管理」の一元化 複雑化する逸脱管理やCAPA(Corrective Action and Preventive Action:品質管理における是正措置と予防措置)のプロセスは、QMS(Quality Management System:品質マネジメントシステム)を導入することで、一元的に管理できます。 システム上で逸脱の発生から原因調査、CAPAの計画・実施、有効性評価までを一気通貫で管理することで、進捗状況が可視化され、部署間の連携もスムーズになります。また、過去の逸脱事例やCAPAのデータを簡単に検索・分析できるため、より効果的な再発防止策の立案にも繋がります。 解決策④:データの一元管理で実現する「データインテグリティ」と「査察対応」の効率化 文書や記録をデジタルデータとして社内で一元管理する体制を整えることは、データインテグリティ(統一性)の確保と査察対応の効率化に直結します。 適切なアクセス権限の設定や監査証跡(誰が、いつ、何を操作したかの記録)機能を備えたシステムを導入することで、データの信頼性が担保されます。さらに、査察時には、要求された情報をシステムから迅速に検索し、正確に提示することが可能になります。これにより、査察準備にかかる工数を大幅に削減し、担当者の心理的負担を軽減することができます。 まとめ 今回は、高品質な治療薬の製造に不可欠な「医薬品GMP」について、その基本から製薬現場が直面する課題、そしてAI/DXを活用した未来の解決策までを解説しました。 医薬品GMPとは:医薬品の品質・有効性・安全性を保証するための製造管理・品質管理の基準です。 現場の課題:膨大な文書業務、複雑な逸脱管理とCAPA、そして査察対応のプレッシャーが大きな負担となっています。 AI/DXによる解決策:生成AIによる文書作成の自動化、QMSによる管理の一元化、データの一元管理によるデータインテグリティの確保と査察対応の効率化が、これらの課題を解決する鍵となります。 GMP遵守のための業務は、今後ますます高度化・複雑化していくことが予想されます。しかし、AIのような新しい技術を適切に取り入れることで、業務の効率化と品質保証レベルの向上を両立させることは十分に可能です。 弊社では、AIを用いた伴走型技術開発で、製薬企業の皆様が抱える課題をサポートしています。GMP文書業務の効率化やデータ管理体制の構築にお悩みでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。 お問い合わせはこちら

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