NEDO「量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」に採択

〜量子最適化技術を活用し、多剤耐性菌(MDRO)に対する新たな治療戦略の確立を目指す〜

株式会社EQUESは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する懸賞金活用型プログラム「量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発(Quantum Computing Challenge)」のスクリーニング審査を通過し、採択されたことをお知らせいたします。

本プロジェクトでは、世界的な脅威となっている多剤耐性菌(MDRO)感染症に対し、量子最適化技術を用いた革新的なアプローチで治療薬開発の加速と新たな治療戦略の構築に取り組みます。

■ 背景:多剤耐性菌(MDRO)という世界的脅威

抗生物質の広範な使用に伴い、既存の薬が効かない「多剤耐性菌(MDRO)」が世界中で急増しています。感染症による死亡者数は増加の一途を辿っており、従来の抗生物質開発に代わる、あるいはそれを補完する新たな治療戦略の確立が急務となっています。

■ 本プロジェクトの概要

EQUESは、細菌叢(マイクロバイオーム)を緻密にコントロールすることで病原体の増殖を抑制する手法に着目しています。 具体的には、病原体が生存に必要とする栄養素の供給を遮断するため、複数の「栄養競合細菌」を組み合わせるアプローチを提案します。膨大な細菌の組み合わせの中から、特定の病原体に対して最適なセットを選定する「組合せ最適化問題」に対し、以下の量子技術を適用します。

  1. 量子最適化による細菌選定の効率化 多数の細菌候補から、病原体の栄養供給を最も効果的に断つ組み合わせを探索します。従来手法では膨大な計算時間を要するこの課題に量子アニーリング等の手法を適用し、効率的に最適解を導き出します。
  2. 量子コンピュータを用いたシミュレーション 常在細菌同士の複雑な相互作用や、病原体への影響を量子計算によってモデル化します。これにより、生体内での治療効果を高い精度で予測し、一人ひとりに最適な治療戦略の立案を支援します。

■ 期待される成果と今後の展望

本プロジェクトの成功により、MDRO感染症に対する新薬開発のスピードアップと製造コストの削減が期待されます。病院内での二次感染リスクを低減し、患者様の安全を守るだけでなく、将来的には農業分野における「作物と細菌の最適化」など、細菌叢コントロール技術の多分野展開も目指してまいります。

EQUESは、東大松尾研発のスタートアップとして、最先端の数理・AI技術と量子計算を融合させ、医療・製薬業界の課題解決、ひいては社会全体のウェルビーイング向上に貢献してまいります。

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