■導入企業の紹介
SOLIZE PARTNERS株式会社(以下SOLIZE PARTNERS)は、日本で初めて3Dプリンターを導入して以来、長年にわたり日本のものづくりを支えているデジタルエンジニアリングのパイオニアです。昨今は社内のデジタルトランスフォーメーション(DX)にも取り組まれており、熟練技術のデジタル化による普及やAIを活用した新しいソリューション開発に注力されています。このたび、株式会社EQUESは、SOLIZE PARTNERSのAI技術導入による課題解決を支援するため、AI PoC(概念実証)サービス『ココロミ』を提供いたしました。導入から運用までの様子をインタビューさせていただきましたので、AI技術導入をお考えの方はぜひご一読ください。
■SOLIZE PARTNERSの課題
SOLIZE PARTNERSがAI技術の導入において抱えていた課題は、「熟練技術者の頭の中にある情報をどうやってシステム化するか」というものでした。
AIによるDXを進めるにあたって、これまで熟練者が経験によって培ってきた感覚的で言葉にならないノウハウを、いかにAIのシステムに組み込み、活用に漕ぎつけるかという課題は、SOLIZE PARTNERSに限らずものづくり業界全体のDXにおける大きなボトルネックとなっています。
AI導入のプロジェクトを始めるにあたって、この課題を解決するべく、PoC(概念実証)からその分析、アクションプランの策定までを包括的に行う弊社サービス「ココロミ」が導入されました。
■導入の経緯
「熟練技術者の頭の中にある情報をどうやってシステム化するか」という課題の中で、AIを活用する目的として立ち上がったのが「複数視点からの画像入力を用いた部品特徴の網羅的な検出」というテーマでした。
このテーマを軸に、SOLIZE PARTNERSとEQUESの共同検討がスタートしました。
ココロミを導入する決め手は、弊社が3D生成に関する豊富な経験を有していたことでした。例えば、株式会社セガ様との事業においては、ユーザが簡単なキーワード入力を行うだけでボクセル形式の3Dモンスターを生成するAIを開発した実績があります。(詳しくはこちら)。この開発をSOLIZE PARTNERSに認知していただいたことがご縁となり、共同開発が実現しました。
■導入後の成果
ココロミでは、以下の2つのテーマでPoC(概念実証)を実施し、それぞれに新たな成果を得ることができました。
取り組み1:設計ナレッジの提案支援
最初の取り組みでは、特定の形状データから特徴を抽出し、それをもとに設計ナレッジを自動で提案するAIの実現性を検証しました。
その結果、開発現場で直接活用できるレベルの設計知識をAIが提示できることを確認。
従来のように過去資料や文献を検索する手間をかけずに、設計のヒントを得られるようになり、知見の再利用性が大きく高まりました。

取り組み2:3D CADデータの自動生成
次の取り組みでは、自然言語による指示からAIが適切な3D CADデータを生成できるかどうかを検証しました。
その結果、単純な形状や構成であればAIによる自動生成が可能であることを確認しました。
一方で、複雑な形状を扱う際には、構成部品となる要素データを事前に十分整備しておく必要があることも明らかになり、今後の改善の方向性が見えてきました。
これらの検証を通じて得られた成果は、SOLIZE PARTNERSにおけるAI活用を現場レベルへ展開するための第一歩となりました。
■ココロミ導入を通しての感想
ココロミの推進において、EQUESの徹底した伴走が大きな安心感につながったとのお言葉をいただきました。開発中、多くの技術的懸念や疑問に対し、担当PMエンジニアが都度、論理的な裏付けをもって丁寧に説明させていただきました。
技術的な不確実性のあるテーマであったからこそ、一貫した伴走と安心感が、『ココロミ』の提供価値を高め、開発を成功に導くための心の支えとなったと評価いただいています。
さらに、AIという新しい技術への挑戦は、社内への新しい風となり、社員の意識を新たにする理由に繋がりました。
単なる技術検証に留まらず、AI活用に対する社内全体の意識を変革するという、文化的な成果も生まれました。
■今後の展望
今回の『ココロミ』を通じて得られた知見と信頼関係を基に、SOLIZE PARTNERSはAI技術の応用をさらに深化させていく意向を示されています。
SOLIZE PARTNERS側の担当者様は、「ぜひ次の取り組みをやりたい」と力強く語り、自社の取り組みを継続していく決意を表明されました。
そして、今後の重要なテーマの一つとして、XAIの必要性が挙げられました。
(XAIとは…「説明可能なAI(Explainable AI)」の略。AI、特にディープラーニングは、なぜその結論に至ったのかという判断プロセスが複雑で、人間には理解しにくい「ブラックボックス」状態になることがある。XAIは、このブラックボックスの中身に説明を与え、AIの判断根拠や理由を人間が理解できる形で示すための技術やその研究分野を指す。AIの信頼性と透明性を高め、医療や金融、自動運転など、高い安全性が求められる分野で公正に活用されることを目指している。)
SOLIZE PARTNERS側の担当者様は、「ブラックボックスになってしまいがちなAIの判断に説明の有無があることで、現場での意思決定に使えるかどうかは大きく変わる」と、実務における説明責任の重要性を強調されました。
株式会社EQUESは、『ココロミ』を通じて培われた具体的な知見と技術的な基盤をもとに、SOLIZE PARTNERSの新たな価値創造と産業の高度化を引き続き力強く支援してまいります。
SOLIZE PARTNERS HPにて、弊社CEO岸および本プロジェクトPMの村山のインタビューが掲載されております。詳しくはこちらからご覧ください。