<お知らせ>CG分野の最高峰国際会議「SIGGRAPH 2025」にてPosters採択

弊社は、経済産業省・NEDOによるGENIAC事業の一部である「ANIMINSプロジェクト」による論文が、2025年8月にカナダ・バンクーバーで開催される「SIGGRAPH 2025」にPostersとして採択されたことをお知らせいたします。
「SIGGRAPH」は「世界最大かつ最高のCGの祭典」と称されるようにコンピュータグラフィクス(CG)分野における最難関国際会議の一つで、権威あるトップカンファレンスです。


ANIMINSプロジェクトについて

ANIMINS(アニミンズ, ANIMe INSight)はオー・エル・エム・デジタル社が実施するデータ・生成AI利活用実証事業です。AIを「ツールの一つであり、クリエイターをサポートするもの」と明確に位置づけ、アニメ制作現場でAIの利活用が本当にできるのかを徹底的に調査しています。


詳しくは以下のホームページもご覧下さい。


論文の概要

レイアウト制約付きのテキストから画像を生成する技術により、ユーザーはテキストとオブジェクトのレイアウトを指定しながら画像を生成できるようになりました。しかし、広告、ポスター、UIモックアップなどの実際のデザインアプリケーションでは、追加されるヘッドラインやロゴ、製品画像のために特定の領域が空白であることが求められることが多々あります。既存のモデルでは、これらの予約された領域が空白のままであることを保証することができず、コストのかかる手動での修正が必要となります。


本研究では、そのような”空白領域”を重要な制約条件として扱います。ユーザーが始めに定義したレイアウトを受け入れ、反応しないノイズを注入することで指定された領域がデノイジングの過程で空白のままであることを担保する拡散ベースのフレームワーク「SAWNA(Space-Aware Text-to-Image Generation)」を提案します。SAWNAは、追加のトレーニングや微調整を必要とせず,指定された領域内でのオブジェクト生成を防ぎ、他の領域では多様性と視覚的忠実性を維持します。実験結果により、SAWNAが予約された領域でのコンテンツを効果的に抑制し、生成された画像のデザインユーティリティを向上させることが示されました。本手法は、生成される画像内において柔軟にスペースを予約できるようにする技術であり、レイアウトが重要なユースケースに対して実用的な解決策を提供します。


今後の展望

レイアウトが重要な応用例の一つとしてアニメ制作が挙げられます。オー・エル・エム・デジタル社が統括する「ANIMINSプロジェクト」の環境を最大限活用し、アニメドメイン特化の研究開発を加速していきます。特に本研究での提案手法のように追加学習を必要としないアプローチは”Training-free”と呼ばれ、計算資源に要するコストを抑制することができるため、制作現場など実応用での活用が大いに期待されます。


論文情報

SAWNA: Space-Aware Text to Image Generation

https://dl.acm.org/doi/10.1145/3721250.3743023
著者:Ryugo Morita, Sho Kuno, Ryunosuke Tanaka, Eiji Iimori, Dinh Hoang Dai, Issey Sukeda
発表予定:SIGGRAPH 2025 Postersセッション
URL:https://s2025.siggraph.org/

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