近年、さまざまな企業にAIが導入されはじめ、
・「自分の企業でもAIを導入した方がいいんじゃないか」
・「AIにはどのくらい費用がかかるのだろう」
・「AIでどんなことができるのだろう」
などと考えている事業者の方も多いのではないでしょうか。
この記事ではAIはどんな業務ができるのか、AIを導入するにあたってどんな企業があるのかを、「ユースケース(活用目的)」ごと、さらに「費用帯」ごとに、実際の業界別導入事例をわかりやすく紹介します。
文書作成や問い合わせ対応、画像解析など、業種を問わず活用が広がるAIサービスの中から、自社に合った導入方法を見つけるヒントを提供します。
また、AI事業の最新動向にも触れており、AIを活用したビジネスの立ち上げを検討している方にも参考になる内容です。
目次
そもそもAI事業とは?
AI事業とはなにか
近年、AI技術の進化にともない、「AIを使って新しい事業を始めたい」「AI導入支援をビジネスにしたい」といったニーズが高まっています。
実際、AIを活用したソリューションの提供や、企業の業務改善を支援する「AI事業」はさまざまな業界に広がりつつあります。
AI事業とは、AI技術を活用して価値を創出するビジネスの総称です。その形は多様で、たとえば以下のようなパターンがあります:
- 企業の業務にAIを組み込む導入支援(コンサルティング や開発支援)
- 自社でAI技術を用いたプロダクトやサービスを開発・販売
- AIを活用したデータ分析や自動化ソリューションの提供
- 特定業界に特化したAIツールの提供(医療、製造、物流 など)
AI事業者の分類
経済産業省と総務省が策定した「AI事業者ガイドライン(第1.01版)」によると、上記1で紹介したコンサルティングや開発などの事業者は以下の3つに分類されています。(※一部要約)。
- AI開発者(AI Developer):AIモデルやシステム基盤を開発する役割
- AI提供者(AI Provider):AIをサービスや製品として提供・運用支援する役割
- AI利用者(AI Business User):実際に業務でAIを活用する企業や組織
※出典:経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン(第1.01版)」。本記事では読みやすさのため、一部要約・簡略化しています。
このように、AI事業とは開発から運用・保守、さらには導入支援まで含む広範な活動を指し、AIをビジネスに取り入れる際には「技術」と「活用目的」の両方を明確にすることが成功のカギとなります。
AI事業の最新のトレンド4選!2025年、導入企業が注目すべき分野とは?

近年、AI事業は技術の進化とともに急速に多様化しています。特に2024年以降は、生成AIの一般普及により、従来の開発・分析中心のAI事業から、業務支援やユーザーインターフェース改善へとシフトしつつあります。
ここでは、今注目されているAI事業の最新トレンドを、活用分野ごとに整理してご紹介します。
1. 生成AI(Generative AI)の本格活用
ChatGPTをはじめとする生成AIの登場により、文章・画像・音声の自動生成が業務に導入されはじめています。
ちなみに「生成AI」はChatGPTのように文章や画像、あるいは音声などを生成することができるAIの総称です。詳しくはこちら(URL)
主な活用例:
- マニュアルや議事録の自動作成(カスタマーサポート・社内報告)
- SNS投稿文の自動生成(広報・マーケティング)
- コールセンターでのAI応対文作成
- ゲームや広告における画像・音声のAI制作
2. マルチモーダルAIの普及
「テキスト × 画像 × 音声」など複数の情報を統合して理解・応答するマルチモーダルAIが実用段階に入りつつあります。
注目ポイント:
- 医療分野で、画像診断+カルテ文章の一体解析
- 教育現場での、音声フィードバック+動画分析による学習支援
- 接客ロボットや自動案内システムでの自然な対話対応
3. 小規模事業者・自治体向けの低コストAI導
従来は大企業中心だったAI導入が、補助金・SaaSの普及により地方自治体や中小企業にも広がりを見せています。
特に補助金は初期投資のハードルを下げ、SaaS型のAIサービスは月額課金などで専門知識がなくてもすぐに使えるため、導入障壁を大きく下げています。
補助金について詳しく知りたい方はこちら
(経産省・中小企業庁「AI活用、導入の専門ノウハウ×資金支援」)
動きの例:
- ノーコードで導入できるAIチャットボット(人手不足対策)
──プログラミング不要で導入可能。
- RPA+AIによる経費精算・文書チェックの自動化
──RPA(定型業務を自動で処理するソフトウェアロボット)とAIを組み合わせ、人手で行っていたルーティン業務を効率化します。
- 公共窓口でのFAQ自動応答システム
4. AI倫理・セキュリティ対策の強化
AIの導入拡大に伴い、説明可能性(XAI)やプライバシー保護などへの関心も高まっています。
主な対応例:
- 経済産業省「AI事業者ガイドライン」に基づいた開発体制整備
- 学習データの偏りチェック(バイアス対策)
- 顧客からの同意取得やデータ削除対応
トレンドを踏まえて:どう選ぶべきか?
AI事業のトレンドは日々進化していますが、「何の課題を解決したいのか」というユースケース視点が導入のカギになります。
単に「流行っているから使う」のではなく、自社の業務や顧客体験をどう変えたいのかを明確にすることが重要です。
【2025年版】ユースケース別・価格帯別で選ぶAI導入支援企業まとめ
【価格帯ごと】AI導入企業比較表
価格帯(目安) | 企業名 | 特徴・ユースケース例 | 主な対象業界 |
月額10万円〜 | eques(エクエス) | 生成AI・数理最適化・統計解析に強み。課題ヒアリング~PoC・開発・運用まで一貫支援。製薬・建設・小売の実績多数。 | 製薬、小売、建設 |
月額10〜100万円 | exaBase | 問い合わせ対応・FAQ自動化チャットボット。導入コスト・運用コストを抑えて導入可能。 | 人材、社内IT支援 |
月額10〜100万円 | Benefitter | LINE連携型チャットボット。ブランド品査定や問い合わせ自動化に対応。 | 小売、リユース、EC |
300〜600万円 | SENSY MD | 小売・アパレル向け需要予測AI。SKU単位での最適化で粗利18%改善の実績。 | アパレル、小売 |
100万円〜(大規模は1000万円超) | AmiVoice Cloud Platform | 音声認識AIによる物流・現場業務の支援。音声指示・確認で作業効率化とミス削減。 | 物流、倉庫、製造業 |
月額1〜50万円 | ノーコードAI SaaS | チャットボットや議事録自動化など、スモールスタートに最適なノーコードツール多数。 | 中小企業全般 |
※本記事で紹介している価格帯は、各社の公表情報・導入事例・公開インタビューなどをもとに編集部が算出した目安です。実際の費用は業務規模や要件により変動しますので、導入時は個別にご相談ください。
【ユースケースごと】AI導入企業の比較表
解決したい課題・業務領域 | 対応企業 | ソリューション概要 | 想定される効果 |
文書業務の効率化 | eques(エクエス) | 品質保証文書の自動生成・レビュー・検索(製薬業界など) | 作業スピード向上、ミス削減 |
販売計画・需要予測の最適化 | eques、SENSY MD | 惣菜やアパレルの販売量・割引率を最適化 | 粗利10〜18%の改善 |
問い合わせ対応の自動化 | exaBase、Benefitter | チャットボットによるFAQ対応やLINE査定の自動化 | 対応コスト削減、業務の属人化解消 |
図面やPDFの情報抽出・検索 | eques(エクエス) | 建設業における図面情報の自動抽出、文書検索など | 情報検索時間短縮、業務標準化 |
音声入力で現場作業を支援 | AmiVoice Cloud Platform | 音声での指示確認により、仕分け作業などを効率化 | 作業効率20%増、ミス84%減 |
手軽なAI導入(スモールスタート) | ノーコードAI SaaS | ノーコードツールでチャットボットや議事録作成などを即導入可能 | 導入リスク低、すぐに試せる |
企業別に詳しく紹介!
EQUES(エクエス)
製薬業界をはじめとする多様な業界に向けて、実務に根差したAIソリューションを展開しているのがEQUESです。
例えば、製薬業界では品質保証文書や変更申請書の作成・レビュー・承認といった業務をAIで自動化。専門性が求められる薬学分野に特化したLLMを活用し、文書の精度と業務効率を両立しています。
また、建設業界では図面やPDFからの情報抽出、小売業界では需要予測などにもAIを応用。さらに、クリエイティブ業界においては生成AIによる制作支援も行っており、非常に幅広い対応力が特徴です。
クライアントの課題を丁寧にヒアリングし、PoCから運用まで顧客に寄り添い伴走するコンサルティング体制も強みの一つ。低コストでひとまずAI導入したいと考えている方におすすめです。
SENSY株式会社
「感性を理解するAI」というユニークなコンセプトを掲げ、アパレルや小売、食品業界を中心に需要予測と販売最適化を支援するのがSENSYです。
主力製品「SENSY MD」は、複雑なデータを活用して精度の高い予測を実現。在庫管理や廃棄の最適化に貢献しています。
また、顧客ごとの「好み」を学習する感性解析AIにより、パーソナライズされた接客やレコメンドも可能に。チャットボットやLINEを活用した接客ソリューションも展開中です。
アパレル以外にも金融や物流、不動産、外食など多業種に導入されており、今後の拡張性にも注目が集まっています。
ExaWizards(exaBase)
社会課題の解決をミッションに掲げ、AIを実務にどう活かすかを徹底的に考えるテック企業がExaWizardsです。
主力プラットフォーム「exaBase Generative AI」は、多様な業種に対応するAIツール群を揃え、特に業務の自動化・効率化に強みを発揮します。
市場分析、人材配置、資材カット最適化といった業務にもAIを応用でき、画像・音声・テキスト解析といった基本機能も充実。
単なるツール提供にとどまらず、業務課題の特定からDX体制の構築支援まで、伴走型のサポート体制を整えています。
Benefitter(ベネフィッター)
Benefitterは、チャットボットを中心に業務自動化を支援するソリューションを提供しています。
TeamsやLINEといった日常的に使うツールと連携し、申請・予約・パスワードリセットなどを自動化。定型業務の手間をぐっと減らすことができます。
また、外部サイトでは顧客対応の自動化にも対応しており、法人営業や接客支援にも活用されています。GUIでシナリオ設計ができるため、非エンジニアでも柔軟に対応可能。
マーケティングやCRMとの連携、ログの分析を通じて、業務改善と戦略設計の両方に貢献します。
AmiVoice Cloud Platform(アミボイス・クラウドプラットフォーム)
音声認識技術を活用して業務を効率化するのが、AmiVoice Cloud Platformです。
会議の議事録作成、コールセンターの通話記録、ボイスボット構築など、音声が発生する現場で幅広く活用されています。
製造・建設の現場での日報作成、動画の字幕生成など、専門性の高い用途にも対応。話者識別や要約機能など、精度と機能性のバランスが魅力です。
APIやSDKでの提供により、柔軟なシステム構築が可能。20年以上の実績をもとに、信頼性の高いサービスを提供しています。
ノーコードAI SaaS
誰でも簡単にAIを導入できるノーコードSaaSサービスも注目を集めています。
プログラミング不要で、チャットボットや議事録作成ツールを構築できるため、小規模事業者でもすぐにAIを活用できます。
FAQ自動応答や、会議音声の要点抽出といった業務支援が中心ですが、売上分析・予約管理といったより複雑な業務にも対応。
他の業務システムや生成AIとの連携も可能で、データを軸にした高度な業務改善を実現します。スモールスタートから大規模運用まで、柔軟な拡張性が魅力です。
まとめ:業界・課題に寄り添うAIパートナーの選び方とは?
AIを活用した業務改善が進む中で、成果を出す企業とそうでない企業の差は、「誰と組むか」で大きく分かれます。今回ご紹介した企業には、それぞれ以下のような特徴が見られました。
- 業界特化の深い知見
EQUESの製薬業界向け文書AIや、SENSYのアパレル・食品小売向け需要予測など、専門性に根ざしたAI設計が特徴です。既存の業務にフィットするため、導入のハードルが低く、成果も出やすくなります。 - 現場起点の業務効率化
AmiVoiceやBenefitterのように、議事録作成・社内申請・ヘルプデスクなど、実際の業務フローに即した自動化機能は、「すぐに使えるAI」として高く評価されています。 - ノーコード・GUIでの簡便な導入
ノーコードSaaSやGUI設計のチャットボットなど、ITリテラシーが高くない現場でも扱えるツールが増えてきました。これにより、AI活用の裾野が広がっています。 - 幅広い業界・業務への応用力
ExaWizardsのように、小売から製造・金融まで多業種に対応できる企業は、自社の業務が複数領域にまたがるケースでも安心です。
このように、「どんな技術か」よりも「誰の、どの業務に役立つか」が重要な視点になってきています。
AIは万能ではありませんが、現場に根ざした形で導入されれば、間違いなく強力な助けになります。
本記事が、そうした「使えるAI」の導入に向けた一助となれば幸いです。